ドローンを活用した自然環境調査 │空撮・生態調査・撮影画像のオルソ化・3Dモデル化
獣害対策・自然環境調査におけるドローンの活用について
ドローン「MATRICE 210 RTK」・赤外線カメラ「Zenmuse XT」を使って、夜間に活動するイノシシを撮影しました。モノクロの動画には上空から撮影したイノシシがはっきりと映っています。
撮影場所は東京都あきる野市、丘陵地に樹林が残るものの、だいぶ市街化が進んだ環境です。このような環境でもイノシシは増加傾向にあり、対策が必要となります。
▲赤外線カメラを搭載したドローンで撮影したイノシシの映像
以下、ドローンに関するブログもご覧ください。
ドローンを使って鳥獣被害を防ぐ方法
1. 鳥獣の出没を確認する
ドローンを使って、鳥獣が頻繁に出没する農地や果樹園などの周辺を観察することで、どのような環境を実際に利用しているかを確認することができます。ドローンには高性能なカメラが搭載されており、広範囲を高精度で撮影できるため、観察作業の効率化につながります。
2. 防柵や鳥獣の行動分析を行う
ドローンを使って、鳥獣が通りやすい箇所や、防柵の不備などを確認することができます。また、ドローンにはGPS機能が搭載されており、鳥獣の動きを分析することで、防柵の改善やその他の対策の見直しができます。
ただし、ドローンによる防獣対策には、法令や条例、プライバシーに関する問題もありますので、十分な注意が必要です。
獣害対策としてドローンができること
ドローンは獣害対策に有用なツールとなることがあります。
1. ドローンによる追跡
ドローンは、鳥獣が侵入する可能性のある農地や果樹園、畜産施設などで、迅速に動物を追跡することができます。また、農地や集落の周囲を飛び回り、鳥獣の侵入を防止するために、獣害防止フェンスの設置に関する補助することができます。
2. ドローンによる鳥獣の捕獲を補助
ドローンにより鳥獣が侵入しやすい場所を観察したり、実際に鳥獣の確認をすることで、捕獲しやすい場所の特定に役立ちます。例えば、特定の地域に獣害が多発する傾向がある場合、ドローンで撮影した画像をもとに、地図を作成し、獣害が発生する可能性のある場所を特定することができます。
獣害対策にドローンを活用するメリット
ドローンを獣害対策に活用することには、以下のようなメリットがあります。
1. 短時間で巡回
ドローンは、高い位置から広範囲を観察することができます。そのため、人の足で周るには時間のかかる範囲でも、短時間で見て回ることができます。
2. アクセス困難な場所へも行ける
ドローンを用いることで、人の立ち入りが困難な場所への侵入が容易になります。例えば、急斜面地や藪が深刻な場所などへも、ドローンであれば安全かつ容易に観察することができます。
3. 動物への接近
ドローンを使用することにより、上空から動物に接近・追跡し、行動などを観察することができます。しかし、動物種によってはドローンの音で逃げるものもいるため注意が必要です。
4. データの収集・管理
ドローンによって写真を撮影し、ソフトを使って処理をすることで、迅速かつ詳細な地図を作成することが出来ます。これにより、獣害対策に関する情報を迅速かつ正確に収集することができます。
獣害対策におけるドローンの課題
様々なメリットがある獣害対策としてのドローンの活用ですが、一方で以下のような課題もあります。
1. 飛行制限
ドローンの飛行には、航空法に基づく制限があります。特に、空港周辺や人口密集地域などでは、飛行制限が非常に厳しいため、ドローンを使用することが難しい場合があります。
2. 電波干渉
ドローンは、無線通信を使用して操縦されます。そのため、高圧線など周囲に干渉する電波がある場合、もしくは山によって電波が遮断される場合には、操縦に支障が出る可能性があります。
3. 天候条件
ドローンは、天候条件に左右されます。強風や雨などの悪天候下では、ドローンを飛行させることができず、獣害対策ができない場合があります。
4. 飛行時間
ドローンの飛行時間は、バッテリーの容量に依存します。一般的なドローンの飛行時間は、20分程度です。そのため、大規模な敷地を一度に監視する場合には、複数のドローンを用意する必要がある場合があります。
5. 操作技術の不足
ドローンを操作するためには、一定の操作技術が必要です。操作技術が不足している場合には、操縦ミスによって機体を紛失、もしくは事故(物損もしくは人身)が起こる可能性があります。
6. コスト面
ドローンを導入するためには、機体の購入費用や維持費用が必要になります。また、ドローンの操作には、専門知識を持つ人材を配置する必要があるため、人件費もしくは人材育成に費用がかかる場合があります。
以上のように、獣害対策におけるドローン利用には、課題が存在します。これらの課題を解決するためには、専門知識を持つ人材や適切な設備を整備することが必要です。
全国で実施されているドローンによる獣害対策の事例
日本国内で実施されているドローンを利用した獣害対策の事例としては、以下のようなものがあります。
1. 集落環境調査
【神奈川県】
神奈川県では、野生鳥獣による農作物の被害・対策状況を把握する集落環境診断において、ドローンによる空撮を活用しています。
(引用: ドローンを活用した鳥獣被害対策の負担軽減(かながわ鳥獣被害対策支援センター))
【山形県】
山形県では、先進技術による獣害対策および地域づくりとして、ドローンによる集落環境診断と獣の生息状況調査を行いました。最新の衛星画像の作成により、被害状況(獣道など)や作付け状況の把握、日没後の獣の出没状況を調べ、地域全体での対策を検討するための情報として役立ちました。
(弊社事例:以下「導入実績」の項目を参照)
2. 農地の獣害対策
【北海道釧路市】
北海道釧路市では、ヒグマによる農作物食害状況を把握するために、ドローンを活用している。食害痕の多くは畑の枕地よりも姿が隠せる中心部に多いことから、ドローンによって安全かつ簡単に把握ができます。
(参照:釧路総合振興局(鳥獣害対策~ヒグマ編~))
3. 穀物倉庫の獣害対策
【長野県】
長野県では、穀物倉庫のネズミ対策として、ドローンによるネズミの追い払いが行われています。ネズミの姿を捉えたカメラの画像を人工知能(AI)が解析し、検知。倉庫内に設置したドローンに最適な接近ルートを指示し、ネズミを音で威嚇する仕組みとなっています。
(㈱ヤマサ、信州大学、松本工業高等学校)
(引用:信濃毎日新聞デジタル(ネズミさん、お外へ… カメラで見つけてドローンで追いかけ 信州の産学連携で新技術開発へ))
以上のように、日本国内では、ドローンを活用した獣害対策が実施されています。今後も、ドローンを利用した効果的な獣害対策が求められることが予想されます。
弊社(株式会社 地域環境計画)の提供するサービスについて
弊社サービスが選ばれる3つの理由
① 高解像度カメラや赤外線カメラを搭載したドローンを利用し、鳥獣の行動パターンを調査
② 調査結果からデータ分析、対策の検討・立案、地域住民への研修を実施
③ 全国7拠点での40年以上にわたる自然環境調査の豊富な経験を活かし、地域ごとに最適な対応策を提供
サービスの概要
- ドローンによる鳥獣の出没エリアや移動経路の効率的調査
- 調査結果に基づく被害リスクの高いエリアや状況の可視化
- データに基づく被害対策方針の策定支援
- 対策実施のサポートと必要に応じた改善案の提供
- 地域ぐるみの被害予防の仕組みづくりの支援
使用目的
生息状況調査、農作物被害対策、鳥獣の行動解析、地域住民向け研修等で活用するための資料収集他
対象鳥獣
シカ、イノシシ、クマ、サル、その他中型哺乳類など
特徴
- 夜間飛行:夜間の活動が多い動物を正確に把握する赤外線カメラによる調査
- 高度なデータ処理:取得した空撮画像のオルソ化や3Dモデル化による詳細な解析
- 高性能ドローン:「Phantom4 pro」や産業用ドローン「MATRICE 210RTK」などを使用し、広範囲・精密なデータ収集が可能
- その他:調査、データ分析、対策の検討・立案、地域住民への研修、対策用品販売まで一貫対応が可能
活用技術
- 空撮技術:高解像度のカメラを搭載したドローンで広範囲のデータ収集
- 赤外線センサー:夜間や視認困難な状況下での動物検出
- データ処理:撮影画像のオルソ化、3Dモデル化
- データ解析:行動パターン解析による効果的な対策立案
導入実績
【環境省】(2023年)
- 業務名:令和5年度日光国立公園戦場ヶ原植生復元施設事業(シカ侵入防止策)効果把握調査業務
- 業務履行場所:栃木県
- ドローンによるシカ侵入防止策内生息個体数調査(雄成獣9個体確認)
【山形県】(2023年)
- 業務名:令和5年度最新技術の活用による鳥獣被害対策及び生息状況調査実証事業業務
- 業務履行場所:山形県
- ドローンによる集落環境点検および鳥獣生息状況調査
【渡良瀬遊水地連携捕獲協議会】(2023年)
- 業務名:令和5(2023)年度渡良瀬遊水地ドローンによるイノシシ生息状況調査業務委託
- 業務履行場所:茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県
- ドローンを用いたイノシシ生息状況調査(2,940ha)
サービス料金
【ドローン調査】
50万円/回~
※調査は50haから(10,000円/ha)
※直接経費(旅費・交通費等)は含まれません。
※上記は目安となりますので、考察レポートの作成等を含めた費用についてはご相談ください。
【その他】
データ分析、対策立案、地域住民への研修、対策用品販売まで一貫対応が可能。別途問い合わせください。
全体像をつかむ!
・撮影画像をオルソ化、3Dモデル化するなどして、対象地を俯瞰し全体像を把握
・撮影高度を工夫することで、高精細な画像を取得することが可能
(Phantom4proの場合、対地高度約40mで地上1㎝/1pixelに相当)
見えない(見にいけない)ものを見る!
・見えないものを効率よく補足