電気柵とは、ワイヤーに電気を流し触れた動物にショックを与えることで、「痛み」とともに「怖い」と学習させ、動物の侵入を防ぐ「心理柵」です。獣に対して軽い電気ショックを与えるだけですので、人が触ってもビリッとするだけで死傷したり気絶をしたりすることはありません。
※ペースメーカーを付けている方は絶対に触れないように注意してください。

対象動物
イノシシ、シカ、サル、クマ、ニホンカモシカ、アライグマ、ハクビシン、ヌー トリア、タヌキ、キツネ
特徴
使用例
短距離から長距離まで幅広く使用できます。
(家庭菜園、田畑など小規模農地から、ゴルフ場や農園など大規模敷地、森林と集落の境界、森林内など)
電気柵は設置するにあたり、様々な部材(パーツ)を用意する必要があります。
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本体(本機)
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アース
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ポール(支柱)と
クリップ(碍子) -
ワイヤー(柵線)
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危険表示板
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電圧テスター
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ゲートハンドル
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簡易緊張具
それぞれのパーツの必要数量を算出し、ピックアップしていくのは初めての方にとって非常に大変なため、 電気柵初心者の方には、まずはセット商品から購入することをおすすめします。
動物の体には固い毛があるため、鼻先や肉球などにしか電流は流れません。動物は飛び越えるよりもまず柵を潜り抜けようとして、柵を鼻先で触って確かめるため、柵線は動物の鼻先の高さにまず1本を張り、潜り抜けないようにさらに下方向に何本か張る必要があります。
イノシシ用

- 電気柵の設置段数:2段
- 設置高さ:40㎝
(地上から20㎝・20㎝)
が推奨されています。
中型獣
(ハクビシン・アライグマ・アナグマなど)用

- 電気柵の設置段数:4段
- 設置高さ:35㎝
(地上から5㎝・10㎝・10㎝・10㎝)
が推奨されています。
シカ用

- 電気柵の設置段数:5段
- 設置高さ:130㎝
(地上から20㎝・20㎝・20㎝・30㎝・40㎝)
が推奨されています。
クマ(ツキノワグマ)用

- 電気柵の設置段数:3段(もしくは4段)
- 設置高さ:60㎝(もしくは80㎝)
(地上から20㎝・20㎝・20㎝(・20㎝))
が推奨されています。
※電気柵の下を掘って侵入を試みる場合があるため、電気柵の手前30~50cmのところに1本の複線を設置するとより効果的です。
※これらの段数、柵線間隔は参考値です。地域によってさまざまな事例があり、想定外のケースが発生する場合があります。その場合、加害獣の田畑への執着の強さによって柵線の段数を増やしたり、支柱間隔を狭めるなど、臨機応変な対応が必要となります。
電気柵と聞くと「素人には設置が難しいのではないか?」と思われがちですが、実は非常にシンプルで初めての方でも簡単に設置可能です。100m程度の設置であれば、ほんの数時間で完了します。
STEP.1
草刈りをする

STEP.2
ポール(支柱)を立てる

STEP.3
ワイヤー(柵線)をひっかける

STEP.4
ワイヤー、電源装置(電気柵本機)、アース棒を接続する

STEP.5
正しく設置できているかチェックする

- 通電の悪い場所に電気柵を張らない
- アースは湿り気のある場所に、間隔をあけて深く打ち込む
- クリップ(碍子)は外側に向ける
- 斜面地から離れた場所に設置する
- 漏電防止のために、定期的に草刈りを行う
- 電気柵の近くの藪(やぶ)を整備する
- 農地を隙間なく囲う
- 鼻先の高さにワイヤーを張る
- 地面の窪地はワイヤーの段数を追加してふさぐ
- 柵の目の前に餌を置かない
- 電気柵を設置したら、必ずすぐに通電する
大事なポイント
設置したその日から24時間電流を流してください。
早めに設置され作物を育てるまで間が空く場合でも、設置した日から24時間電流を流しましょう。
電流が流れていない電気柵に動物が触れて無害なものと一度認識してしまうと、その後電流が流れていても平気で侵入するようになります。
せっかく柵を設置しても、その後の管理をしなければいつ動物に侵入されるかわかりません。動物の侵入を確実に防ぐには、柵の設置後も点検、補修などの維持管理が必要です。

電気柵 点検のポイント
電圧は十分ですか?
動物に十分な電流を与えられるよう、少なくとも4,000V程度の電圧が必要です。電圧テスターで簡単にチェックできます。
漏電していませんか?
柵線に草や落ち枝が触れると、漏電の原因となります。
支柱のぐらつきや破損はありませんか?
地盤が緩く支柱がぐらつく箇所や、曲がり角などには太めの支柱(角材など)を立て、補強しましょう。
アースやバッテリーのコードが切れていませんか?
草刈りの際などに誤って切ってしまい、そのまま異常に気付けないことがあります。定期的にコード類のチェックをしましょう。
地際から侵入された形跡はありませんか?
動物は地際の隙間を潜り抜けようとします。地面にくぼみがある場合は電線を追加し、隙間を必ずふさぎましょう。
電気柵の維持管理
漏電防止のための草刈りをしましょう
草が柵線に触れると漏電し、動物への電気ショックが弱まってしまいます。
藪の刈り払いで、猪の隠れ家をなくしましょう
柵のそばの藪は動物の隠れ家になります。ゆっくり柵の探索をさせないために、柵の外際3m程度の刈り払いを行いましょう。
点検、維持管理をつづけるコツ
- 柵の周囲を普段の散歩コースにすると、気軽に点検できます。
- 集落ぐるみであれば、分担して管理をしましょう。
電気柵に流れるパルス電流は家庭用電源(AC電源)とは異なり、間違ってワイヤーに触れて電気の痛みを感じても、電気の流れは一瞬なので手を離すことで危険を回避することができます。
電気柵はネットで様々な商品が販売されていますが、間違いなく安全な電気柵を選ぶのであれば、「日本電気さく協議会」に加入しているメーカーの製品を使用しましょう。
当店では電気柵を利用される皆様に、電気柵をより安全に使用してもらうために、
「日本電気さく協議会」に加入しているメーカーの製品のみ取り扱っています。
設置に必要なパーツが全て揃ったセットもご用意していますので、ご購入後すぐに設置が可能です。
乾電池・バッテリー・ソーラーパネルタイプなど、用途に応じて最適なセットをお選びください。
Q
電気柵は自作してはいけないのでしょうか?A日本では、電気設備に関する安全基準や法規制が存在します。自作の電気柵がこれらの基準や規制を満たしていない場合、違法となる可能性があります。電気柵を自作すると、設計や組み立てのミス、材料の選定ミスなどが原因で、感電や火災など人命に関わる事故のリスクが高まる可能性があり大変危険です。
Q
電気柵に触れるとどうなりますか?A人や動物が安全基準を満たした電気柵に触れると、瞬間的にビリッとした電気ショックを受けます。これは人命や大けがに繋がるほどのショックではなく、通常人体に影響はありません。ただし、ペースメーカーを付けている方は絶対に触れないように注意してください。
Q
電気柵は直流ですか?交流ですか?A市販の電気柵の電源装置(本機)の多くは、パルス型の直流を出力する設計となっています。
Q
電気柵の電気代はいくらですか?電気柵の電気代は、使用する電気柵の電源装置の消費電力や使用時間、そして地域や電力会社の料金体系によって変わります。
乾電池タイプやソーラータイプの電気柵であれば電気代はかかりませんが、乾電池や蓄電バッテリー交換時に費用が発生します。
※ソーラータイプの電気柵はバッテリー充電時にAC電源を使用する場合があり、電気代がかかる可能性があります。
Q
電気柵は何ボルト必要ですか?A当店では、獣害対策として電気柵を使用する場合、柵線に4,000V以上流れるような設置運用を推奨目安としています。
ただし、雨天時などは雨水による漏電のため電圧が下がるため、通常時5,000V以上の出力を保持しておくとより安心です。
Q
電気柵の耐用年数はどれくらいですか?耐用年数は電気柵のパーツごと、設置環境により異なります。
以下例はあくまで目安となりますので、参考程度にお考えください。
・ガラガーシリーズ本機:5年以上
・ガラガーシリーズ本機内蔵バッテリー:3~5年程度
・ゲッターシリーズ本機:8年程度
・楽落くん用ネット(楽落ネット):5~7年程度
・楽落くん用結束バンド(SGケーブルタイ):7年程度
Q
電気柵は雨に濡れても問題ありませんか?当店で取り扱っている電気柵本機の内、乾電池、バッテリー・ソーラータイプ本機は屋外で設置・運用可能な仕様となっております。
※ただし、電気柵本機の浸水は、保証対象外、故障の原因となりますのでご注意ください。
※電気柵本機の種類が「家庭用電源タイプ」の場合は、屋外に設置できません。
※柵線(ワイヤー)については、雨天時に屋外で使用しても問題ございません。
Q
柵線(ワイヤー)が切れてしまったのですが、どのように補修すればよいですか?単純に物理的な衝撃が加わり切れてしまっただけなのであれば、本結びなどで柵線が1本になるように結んでいただければ大丈夫です。
切れてしまった箇所が1箇所だけではなく柵線全体が劣化している場合は、新しい柵線に交換することをお勧めします。
また、本結びをしたときに、結び目の余り部分が柵線に引っかかってしまうとスパークして、漏電や故障の原因になってしまうので、余り部分は柵線に巻きつけたり、絶縁テープで固定したりしてください。
Q
盗難対策はどうしたらよいですか?当店では、盗難補償付きの電気柵本機も取り扱っておりますので、詳細は該当商品ページをご参照ください。
また、盗難防止のためには盗みにくくすることが重要になりますので、電気柵本機に鍵やワイヤーなどを取り付ける対策は効果的です。
その他、電気柵本機にスプレー等で色を付け、転売等を防止する事例もあるようですが、電気柵本機にスプレーする場合には、ソーラー部分やバッテリー等にはスプレーがかからないようご注意ください。
※ソーラー部分やバッテリー等への塗装や自己改造等により不具合が出た場合は、保証の対象外となりますので予めご了承ください。
Q
電気柵を室内に設置できますか?いいえ、当店の電気柵は、獣害対策用として屋外で使用するための製品です。室内でのご利用はお控えください。
ただし、電気柵本機に関しては、家庭用電源を使用するタイプの場合、電源および本機が濡れない場所(屋内や小屋など屋根のある場所)に設置する必要があります。
その上で、屋内の本機から屋外へケーブルを延ばし、屋外にて電気柵を設置、運用します。
Q
住宅地に近い場所や人通りの多い場所への電気柵の設置はできますか?自治体の条例や関連法律により異なる場合がありますので、まずは最寄りの自治体までお問い合わせください。
Q
電気柵は、コの字やL字での設置は可能ですか?はい、可能です。電気柵は一周つなげなくても機能します。
ただし、コの字やL字で設置する場合でも、加害獣が侵入する隙間ができないようご注意ください。
Q
イノシシとハクビシン、両方に対応できる電気柵はありますか?はい、柵線(ワイヤー)の架線段数や高さを調整することで対応が可能です。
基本的に、当店取り扱いの中型獣用電気柵セットは、イノシシにも対応可能な段数と高さを満たしていますので、どちらの獣種にも対応できます。
一方で、シカ対策用電気柵の場合、イノシシには対応可能ですが、中型獣には対応できません。
その場合、シカ対策用電気柵の1、2段目の下部にさらに2~3段程度追加することで、シカ、イノシシだけでなく、中型獣にも対応できるようになります。
その他、さらにサルにも対応する場合、金属柵と組み合わせるなど、複合柵も検討する必要があります。
電気柵の基本(動物が感電する瞬間~電気柵の仕組み~注意点)
電気柵ワイヤーの結び方(2重テグス結び)
電気柵ワイヤーの結び方(本結び)