クマの生態・被害の現状・対策
ツキノワグマ Ursus thibetanus(食肉目クマ科)
形態 |
・食肉目クマ科に属する大型の哺乳類である。 ・体色は全身黒色で胸に白い三日月模様があるが、この模様のない個体もまれにいる。 ・頭胴長120~145cm、体重70~120kgである。 |
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分布 | ・ヒマラヤの南側山麓部から東南アジア北部、中国東北部、ロシア南東部、台湾、海南島、日本に分布する。 ・国内では本州、四国の冷温帯落葉広葉樹林(ブナ林)を中心に生息する。 ・九州では絶滅した可能性が高く、四国でも絶滅が危惧されている。 |
生息環境 | ・全国的に、深山の森林地帯に生息し、河原や草地に餌を取りに出てくることがある。 ・近年は農耕地での目撃も多い。 ・12月~4月まで冬眠する。 ・越冬場所としては、ブナ、天然スギなどの樹洞、あるいは岩穴や土穴を利用する。 |
食性 | ・植物食を中心とした雑食性。 ・クリやドングリなどの堅果類、アリやハチなどの昆虫類、ブナの若芽や草本類を採食する。 ・シカ、カモシカなどの死体、時には仔ジカを捕食することがある。 ・農耕地では果樹や農作物も採食する。 |
繁殖 | 2~3年間隔で、冬眠中に1~2頭の仔を出産する。 |
社会性 | 基本的には単独もしくは母子で生活するが、エサの多い場所に多くの個体が集中することもある。 |
【参考文献】
- 阿部永・石井信夫・伊藤徹魯・金子之史・前田喜四雄・三浦慎悟・米田政明(2005)日本の哺乳類[改訂版].東海大学出版会.
分布図①
出典:環境省 生物多様性センター. 第3部 動物分布図(哺乳類). https://www.biodic.go.jp/kiso/atlas/pdf/3.mammals.pdf, (2024年8月14日取得).
分布図②
出典:環境省 生物多様性センター. 第3部 動物分布図(哺乳類). https://www.biodic.go.jp/kiso/atlas/pdf/3.mammals.pdf, (2024年8月14日取得).
分布図②
出典:環境省. 全国分布メッシュ比較図 ツキノワグマ・ヒグマ. https://www.env.go.jp/houdou/gazou/5533/6252/2141.pdf, (2024年8月14日取得).
農作物ごとの被害面積・被害量・被害金額
出典:農林水産省. 参考1 野生鳥獣による農作物被害状況(令和4年度)を基に作成. https://www.maff.go.jp/j/seisan/tyozyu/higai/hogai_zyoukyou/attach/pdf/index-29.pdf, (2024年8月14日取得).
作成:鳥獣被害対策ドットコム
農作物被害面積・被害量・被害金額の推移
出典:農林水産省. 参考3 野生鳥獣による農作物被害状況の推移を基に作成. https://www.maff.go.jp/j/seisan/tyozyu/higai/hogai_zyoukyou/attach/pdf/index-29.pdf, (2024年8月14日取得). 作成:鳥獣被害対策ドットコム
農作物被害金額の推移
出典:農林水産省. 農作物被害状況. https://www.maff.go.jp/j/seisan/tyozyu/higai/hogai_zyoukyou/, (2024年8月14日取得).
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- ・農作物被害(果樹やトウモロコシなど)
- ・納屋や家屋などの破壊(アリやハチの巣を採食するため)
- ・ゴミ捨て場を食い荒らす。
- ・出会いがしらに、人に危害を加えることもある。
- ・クマの「わな」による捕獲や追い払いは、個別、1軒だけで行っても効果は期待できません。集落単位、地域ぐるみで行うことではじめて被害を減らすことができます。
- ・「わな」による捕獲は、鳥獣保護管理法などを遵守して適切に行う必要があります。これらの法律は、県又は各市町村が管轄していますので、被害が出て「わな」で防除する場合は必ず自治体の担当窓口に相談しましょう。
- ・なお、「わな」で捕獲した個体は、山奥に返す場合と殺処分する場合があります。人の食べ物の味を覚えて、繰り返し人家付近に現れる個体が殺処分の対象となります。