7.電気柵の安全性について
7.電気柵の安全性について
皆さんは電気柵について、どのような印象をお持ちでしょうか?
もしかしたら、「触ったらすごい電気ショックで大きな事故につながってしまうのではないか?」と、想像するかもしれません。
実際、過去には家庭用電源をそのまま使用し、死亡事故につながった事例は、2015年に発生した静岡県西伊豆の感電事故をはじめとしていくつかありました。
それでは、なぜこの事故、事件は起きてしまったのでしょうか?
また、事故を回避するためにはどうすればよかったのでしょうか?
電気柵 感電の危険性と安全な電流の仕組み
事故につながった原因として、まず1つは、電気柵用電源装置(電気柵本機)を使用していなかったこと。 電気柵用電源装置は、ひとに危険を及ぼすことが無いように、必ず出力電流が制限されていますが、一般の家庭用電源はそのような配慮はありません。
もう1つは、漏電遮断器を接続していなかったこと。
漏電遮断機とは、漏電を検知した際に回路を遮断し、災害を防ぐための装置です。
仮に、漏電遮断器を接続せずに、直接家庭用電源から100V(または200V)の電気を流して感電した場合、連続的な電気が流れるために、筋肉が痙攣(けいれん)を続け、重大事故につながる危険性があります。
電気柵の購入や設置には資格も必要ないため、事前に正しい知識を付けて安全に運用しましょう。
※以下、家庭用電源100Vを電源とする電気柵本機を使用した例です。
PSE規格(電気用品安全法準拠)に適合したAC100V仕様の電源装置を設置する際は漏電遮断器を接続します。
漏電遮断器は「人が立ち入る場所に使用電圧30V以上の電源から電気供給を受けて設置する場合に接続する義務」があります。
【厳禁!】上図の様に電気柵線(ワイヤー)へ電源装置を介さず直接家庭用電源100Vを繋いではいけません。
法律違反であるとともに、非常に危険で死亡事故につながります。
また、電気柵の電気は、家庭用電源(AC電源)とは異なり、パルス電流という、普段はあまり聞きなれない電流を電気柵線(ワイヤー)に流します(下図参照)。
パルス電流の場合、間違って電気柵線に触れて電気の痛みを感じても、電気の流れは一瞬なので手を離すことができます。
パルス電流とは?
パルス電流とは、短時間に瞬間的に流れる電流のことです。
電気柵では、約1秒間にほんの一瞬(0.01秒以下)だけ電流が流れます。
そのため、1回に放出される電気の出力は6,000~10,000V(ボルト)と高電圧ですが、誤って触れてしまった場合でも危険を回避することができます。
電気柵はこのような仕組みで安全を確保しています。
※漏電遮断器は「人が立ち入る場所に使用電圧30V以上の電源から電気供給を受けて設置する場合に接続する義務」があります。
安全な電気柵の見極め方
楽天やアマゾンなどネット通販で様々な電気柵セット商品が扱われています。もっと言えばオークションサイトなどで中古商品なども販売されていたりします。その中でどの電気柵商品を選べばよいのか、比較検討段階で非常に迷われるところかと思います。
それでは、実際に安全な電気柵を見極めるには、どうすればよいのでしょうか?もっとも確実な方法は、「日本電気さく協議会」に加入しているメーカーの製品を使用することです。
「日本電気さく協議会」は、2004年に発足した団体で、国内で電気柵を製造しているメーカーや輸入代理店など、8社で構成されています(2020年8月現在:ファームエイジ株式会社・未来のアグリ株式会社・エスケー電気工業株式会社・サージミヤワキ株式会社・タイガー株式会社・日亜鋼業株式会社・株式会社 末松電子製作所・有限会社 薩摩農機)。
この協議会では、年3回の定期会議が開催され、電気柵の安全管理や最新知見、有効な使い方に関する情報共有、また議論が活発に行われています。
「日本電気さく協議会」では、安全管理のための自主基準を設定し、「電気さくの安全使用」を呼びかけています。
また、農水省や経産省との連携を深め、電気柵の安全な使用に関するチラシ、ポスターなどの製作にも関わり、さらに全国各地で安全性に関する講習会なども開催しています。
当店、「鳥獣被害対策ドットコム」では、電気柵を利用される皆様に、電気柵をより安全に使用してもらうために、「日本電気さく協議会」に加入しているメーカーの製品のみを販売しています。