テンの生態・被害の現状・対策
テン Martes melampus(食肉目イタチ科)
形態 |
・食肉目イタチ科に属する中型の哺乳類である。 ・冬毛はあざやかな黄色で胸にオレンジ斑をもち、顔は白く、夏毛はややくすんだ黄色となり、顔は黒い。ただし、夏毛もあざやかな黄色をした個体(キテン)から、冬毛も褐色をした個体(スステン)まで変異が大きい。 ・対馬に生息するものは亜種ツシマテンとされる。 ・頭胴長は雄45~49cm、雌41~43cm、尾長は雄17~23cm、雌17~21cm、体重は雄0.9~1.9kg、雌0.8~1.0kgである。 |
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分布 |
・本州、四国、九州、淡路島、対馬に分布する。 ・佐渡には導入されたものが生息し、近年北海道でもここ50年の間に導入されたと考えられるものが道南、石狩低地以西の道央部に分布域を広げている。 |
生息環境 |
・樹上空間を多く利用するため森林を生息地とする。 ・巣は岩穴、樹洞を利用する。樹木があれば人家周辺にもみられ、人家や神社の屋根裏や納屋などを出産、子育てに利用することも多い。 |
食性 | ・雑食性。 ・力工ル、ネズミ類、鳥類、昆虫類など小動物を捕食するほか、ヤマグワ・マ夕タビなどの果実類も採食する。 |
繁殖 | 年1回、4~5月に2~4頭の仔を出産する。 |
社会性 | 単独で生活し、ツシマテンでは平均70haほどの排他的な行動圏(なわばり)をもつことが報告されている。 |
【参考文献】
- ・阿部永・石井信夫・伊藤徹魯・金子之史・前田喜四雄・三浦慎悟・米田政明(2005)日本の哺乳類[改訂版].東海大学出版会.
- ・日高敏隆(1996)日本動物大百科第1巻哺乳類Ⅰ.株式会社平凡社.
- ・村上興正・鷲谷いづみ(2002)外来種ハンドブック.地人書館.
- ・S.D.Ohdaichi,Y.shibashi,M.A.Iwasa&T.saitoh,eds(2009)The wild mammals of Japan
分布図①
出典:環境省 生物多様性センター. 第3部 動物分布図(哺乳類). https://www.biodic.go.jp/kiso/atlas/pdf/3.mammals.pdf, (2024年8月14日取得).
分布図②
出典:国立環境研究所 侵入生物データベース. ホンドテン. https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/detail/10330.html, (2024年8月14日取得).
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- ・ニワトリ小屋等に侵入して襲う。
- ・農作物被害(カキ、ミカン類等)
- ・納屋や家屋への侵入
- ・糞尿による生活環境被害
- ・音や光を出す装置で追い払う。
- ・納屋、倉庫などに入られないよう、侵入口をふさぐ。
- ・箱わなで捕獲する。
- ・餌付けは絶対しない。
- ・イタチ類のような繁殖力の高い獣を「わな」で捕獲して地域の個体数を減らすことはかなり困難です。ただし、鶏舎付近に「わな」を設置して捕獲することは一定の防除効果があります。
- ・対馬に生息するテン(亜種のツシマテン)は狩猟獣ではないので捕獲できません。間違って捕獲した際は、逃がすようにしてください。
- ・「わな」による捕獲は、鳥獣保護管理法などを遵守して適切に行う必要があります。これらの法律は県又は各市町村が管轄していますので、被害が出て「わな」で防除する場合は必ず自治体の担当窓口に相談しましょう。