アライグマの生態・被害の現状・対策
アライグマ Procyon lotor(食肉目アライグマ科)
形態 |
・食肉目アライグマ科に属する中型の哺乳類である。 ・体毛は灰褐色や茶褐色などがあり、目のまわりと鼻筋が黒く、尾の輪模様が特徴的である。 ・指が長く、器用で、前足で物をつかむことができる。 ・頭胴長は42~60cm、尾長は20~41cm、体重は4~10kgである。 |
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分布 |
原産地はカナダ南部からパナマで、日本にはペットとして輸入された。 しかし、ペットには不向きな性格であるため野外に放されたり、器用な手先をつかい逃げ出す個体も多いなど、現在、全国すべての都道府県で野生化が確認されている。 |
生息環境 | ・水辺を好むが、森林、湿地、農耕地、市街地など幅広い環境に適応し生息する。 ・木登りが得意で、原産地では樹上を住処とするが、日本では家屋などの天井裏に住みつくケースも多い。 |
食性 | ・雑食性。 ・野外に定着した個体は、果実・野菜・穀類、カエルやネズミなど小動物、鳥類、魚類、昆虫など幅広く食べる。 |
繁殖 | 年1回春に、3~6頭の仔を出産する。 |
社会性 | 基本的には単独もしくは母子で生活するが、時に集団で生活する場合もある。 |
【参考文献】
- ・阿部永・石井信夫・伊藤徹魯・金子之史・前田喜四雄・三浦慎悟・米田政明(2005)日本の哺乳類[改訂版].東海大学出版会.
- ・村上・鷲谷 (監修) 日本生態学会 (編) (2002) 外来種ハンドブック.地人書館.
- ・多紀保彦(監修)・財団法人自然環境研究センター(編)(2008) 日本の外来生物.株式会社平凡社.
分布図①
出典:環境省 生物多様性センター. 第3部 動物分布図(哺乳類). https://www.biodic.go.jp/kiso/atlas/pdf/3.mammals.pdf, (2024年8月14日取得).
分布図②
出典:環境省. アライグマ、ハクビシン、ヌートリアの生息分布調査の結果について(添付資料1). https://www.env.go.jp/press/105902.html, (2024年8月14日取得).
分布図③
出典:国立環境研究所 侵入生物データベース. アライグマ. https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/detail/10150.html, (2024年8月14日取得).
農作物ごとの被害面積・被害量・被害金額
出典:農林水産省. 参考1 野生鳥獣による農作物被害状況(令和4年度)を基に作成. https://www.maff.go.jp/j/seisan/tyozyu/higai/hogai_zyoukyou/attach/pdf/index-29.pdf, (2024年8月14日取得).
作成:鳥獣被害対策ドットコム
農作物被害面積・被害量・被害金額の推移
出典:農林水産省. 参考3 野生鳥獣による農作物被害状況の推移を基に作成. https://www.maff.go.jp/j/seisan/tyozyu/higai/hogai_zyoukyou/attach/pdf/index-29.pdf, (2024年8月14日取得). 作成:鳥獣被害対策ドットコム
農作物被害金額の推移
出典:農林水産省. 農作物被害状況. https://www.maff.go.jp/j/seisan/tyozyu/higai/hogai_zyoukyou/, (2024年8月14日取得).
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- ・農作物被害(果樹、スイカやトウモロコシなど野菜)
- ・ゴミやペットフード、家畜の飼料などを食い荒らす。
- ・納屋や家屋への侵入
- ・糞尿による生活環境被害
- ・希少種を含む在来生物の捕食
- ・人やペット、家畜に伝染病を運ぶ恐れがある。
- ・狂犬病や人畜共通の寄生虫、アライグマ回虫の宿主となっている可能性がある。
- ・回虫の宿主であれば、糞にはその卵が含まれることがある。
- ・回虫卵が、人間の口から体内に入ると、体内で幼虫となって視神経や脳神経に入り込むと、失明や脳障害などを起こし、原産国では死に至ったケースもある。
- ・また、ペットの犬や豚、馬などの家畜にも感染する。
- ・アライグマなどの中型獣の「わな」による捕獲は、個別、1軒だけで行っても効果は期待できません。集落単位、地域ぐるみで行うことではじめて個体数と被害を減らすことができます。
- ・「わな」による捕獲は、鳥獣保護管理法、外来生物法などを遵守して適切に行う必要があります。これらの法律は県又は各市町村が管轄していますので、被害が出て「わな」で防除する場合は必ず自治体の担当窓口に相談しましょう。
- ・特定外来生物の防除対策は予防が重要です。被害は出ていない場合でも、目撃したり痕跡を確認した場合には、すぐに県市区町村の野生鳥獣を担当する部署に届け出るようにしましょう。