イノシシ対策の罠!?
【箱わなの捕獲効率を上げるポイントとは?】
イノシシ被害の対策では、次の3つの方法を総合的に進めていく必要があります。
- 1. 防護柵の設置:田畑への侵入を防ぐ
- 2. 集落全体での環境整備:収穫放棄された農作物の撤去、藪の刈り払い等
- 3. 捕獲(個体数管理)
今回は、罠(箱わな)を使ったイノシシの「捕獲」について、その効率を上げるためのポイントをお話します。
■捕獲効率を上げるためには「急がば回れ」
大切な農作物が荒らされ被害が出ているのだから「一刻も早く捕獲したい!」のですが、すぐには捕まりません。
イノシシは臆病で警戒心が強く、罠を置いてもなかなか近づきません。
少し遠回りのようにも思えますが、まずは、イノシシの警戒心を解き罠に近づけさせる、捕獲は次のステップです。
■具体的な方法は?
イノシシの警戒心を解く方法、ポイントは、エサのやり方です。
まず、イノシシが慣れるまでは罠の扉はロックし、下りないようにします。
- 1. 罠の外側にもエサを撒き、徐々に罠に近づくよう誘引する。
- 2. 罠の奥までイノシシが入り、エサを頻繁に食べるようになるのを待つ。(毎日見回りをして、エサの減り方や足跡をチェックします)
- 3. イノシシの警戒心を解いたところで、扉のロックを外し捕獲!
エサの種類は、米ぬかが使われることが一般的です。
他に、トウモロコシ、リンゴ、サツマイモ、おから、酒粕なども使われますが、クマがいる地域では、甘い香りのものは避けた方が良いでしょう(クマを誘引する恐れがあるため)。
なお、周辺で栽培している農作物は、餌付けしてしまう恐れがあるため、エサとして用いない方が良いでしょう。
このほか、罠を設置する際にはいくつかのコツがあります。
■被害を出している個体を狙う
イノシシは、通常1年に1回、平均4~5頭を出産します。
高い増加率をもつため、やみくもに捕獲を続けていても被害はなかなか減りません。
被害の出ている農作地等の近くにあるフィールドサインを見つけ、狙いをつけた場所に罠を設置し、被害を出している個体を捕獲します。
■罠の設置場所
イノシシは、安心して身を隠せる藪や山際を好んで移動します。
罠は、被害の出ている農作地等から離れすぎない、こうした場所の近くに設置するのが良いでしょう。
(農作地等のすぐ近くに罠を設置すると、他のイノシシを招く恐れがあります)
■罠の設置方法
イノシシの警戒心を解くため、罠の底面には土を被せて金網を見えなくします。
仕掛け糸はウリボウより高い位置に張ります。
ウリボウは好奇心が旺盛で、親よりも先に罠の中にも入りやすいので、子どもが何事もなくエサを食べる様子を見た親の警戒心が薄れ、罠に入る可能性が高くなります。
以上、罠での捕獲効率を上げるポイントについてお話しましたが、イノシシの被害対策では、捕獲だけで被害を減らすのは難しいです。
防護柵の設置や、集落全体での環境整備を併せて行うことで、効果的な防除に結び付けましょう。
※捕獲の許可について
イノシシの捕獲は、狩猟免許や捕獲の許可が必要です。
詳しくは、お住まいの県や市町村へお問い合わせください。
<参考>
「野生鳥獣被害防止マニュアル-捕獲編-」
農林水産省生産局農業生産支援課鳥獣被害対策室
「イノシシから田畑を守る」江口祐輔
「知ってとくとく箱ワナの設置とエサやり法(イノシシ)改訂版」
新城北設鳥獣害対策協議会
「効率的な捕獲方法とスマートセンサーの役割」
兵庫県立大学 自然・環境科学研究所 阿部 豪
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