【ぶどう園の獣害対策】実践的な方法とおすすめ商品(ハクビシン対策の事例も紹介)
投稿日:2023年11月15日
運営会社:株式会社 地域環境計画
投稿日 : 2021年04月16日
更新日 : 2024年03月25日
「鳥獣被害対策ドットコム」の桑田莉奈です。今回は、ハクビシンを主とした中型動物の対策として有効な「楽落くんNEO」についてご紹介します。
栃木県で開催しました「楽落くんNEO」設置講習会での実際の設置の様子やコツ・ポイント等の紹介と、私目線で感じたことをお伝えできればと思っています。
今回は、獣害対策の基本と「楽落くんNEO」設置前から設置完了までを紹介します。
私ですが、実はこの鳥獣被害の分野に関わり始めてまだ1,2年ほどでして、対策用品や実情について日々勉強をさせていただいています。そんな私が今回執筆するのは、これまでにも何度かブログに取り上げてきました「楽落くんNEO」 という商品についてです。
昨年の12月に当店主催の「楽落くんNEO」設置講習会へ参加しまして、当店の井上(自称:地下足袋部長 )と資材のメーカーや行政担当者の方々と共に、実際に設置作業をしてきました!設置方法やコツ、注意点などについては以前のブログ「ハクビシンを撃退!簡単設置の複合電気柵【楽落くん】設置のコツ」 からもご覧いただけます。是非こちらも併せてご一読ください!
さてみなさん、いちごは好きですか?私は大好きです!いちごといえば栃木県ですよね?栃木県はいちごの国内生産量No.1で、国内の約16%のいちごが栃木県産です。
しかし、現在そんな栃木県でも深刻化しているのが野生鳥獣による農作物被害です。もちろんいちごも例外ではなく、特にハクビシンをはじめとする、タヌキ、アライグマ等の中型の哺乳類による被害が深刻です。
そして今回「楽落くんNEO」設置講習会の舞台となったのは、栃木県中央やや東側にある高根沢町にあるいちご農家さんです。
オーナーさんの話によると、この辺りでは獣によって、たびたびいちごが被害を受けているそうです。そして、その犯獣は「ハクビシンだろう」とのことでした。その話を聞いたとき、「もしかしたらハクビシン以外も来てるかもな……」と呟いたのが、我らが地下足袋部長……。いつもの如く、事務所から大量のトレイルカメラを持ち出し、ビニールハウスを取り囲むようにトレイルカメラを設置しました。
そして犯獣が確認できる、その時を待ちました……。すると、夜間の人がいない時間に、ハウスに近づくタヌキの姿を確認できました!
オーナーさんからは獣によってマイカ線(ハウスのフィルムのバタつきを抑える黒くて平らなバンド<ヒモ>)が切られて困る……との話を聞いていたのですが、動画を見る限り、どうやらタヌキの仕業のようですね。
このように、熱を感知して自動で撮影してくれる「トレイルカメラ(センサーカメラ)」は、動物の種類の特定にとても役立ちます。
また、トレイルカメラはその他にも、
などなど、使い方は多岐にわたり、様々なシーンで活用できます。
まず獣害対策を実施する前に重要なのは「対策すべき、動物の種類を特定すること」です。なぜかというと、動物の種類によって適した対策が変わるからです。当然といえば当然ですよね。
例えば、あなたが育てた作物が動物に食べられてしまうといった被害にあったとします。そこで、あなたは「周辺でイノシシがよく出るらしい」と周囲の人から聞いていたとしたら、おそらく、「うちの作物を食べているのはイノシシだ!」と直感的に思い込み、とりあえずイノシシ対策をするのではないでしょうか。
しかし、イノシシ対策を講じたにも関わらず、状況はあまり変わらず食害は続いてしまいました……なぜでしょうか。実はあなたの作物を食べていたのはイノシシのほかに、アライグマやハクビシンもいたからです。
これではせっかく対策をしたのに、残念ですよね。なので対策をする前に、「対策すべき、動物の種類を特定すること」が大切なのです。
ある特定の動物のみに対応した対策では、他の動物に対しては効果が薄い、または効果がない場合があります。特に電気柵は動物によって有効な段数、高さが異なります。
イノシシは通常、地上から「20㎝・40㎝の2段」の電気柵でよいとされますが、イノシシよりサイズの小さい中型動物は4段が基本です。しかも、地上から「5㎝・10㎝・20㎝・30㎝」と、地面スレスレから柵線を張って潜り込みを防ぐ対策がとても重要になってくるのです。
今回、自動撮影カメラによってタヌキが来ていることが分かり、その後の継続調査でハクビシン、アライグマ、イタチなどの動物も確認されました。いちごの場合、ハクビシンだけでなく、ほかの中型動物にも狙われる可能性が高いため、中型動物全般に対応した対策が必要です。
地下足袋部長たちと、どのような対策がベストか検討した結果、設置後のメンテナンスのことも考慮し、今回は「楽落くんNEO」を設置することに決定!当店主催で2020年12月19日に「楽落くんNEO」設置講習会を開催し、実証実験を兼ねて、設置後の効果も検証することを決めました。
さて、前置きが長くなりましたが、以上の背景があり、いよいよ設置講習会当日を迎えました。冬空の下、とても寒い中、現地にはいちご園オーナーさんを含む、10人ほどのメンバーが集まりました。
まだコロナ禍ということもあり、野外講習でもしっかりとマスクを着用し、消毒も徹底して設置に取り掛かります。当日はかなり強風でしたが、講習が始まるころには「風が涼しくて気持ちいいです!」と笑顔で言えるくらいアドレナリンも出て、ウォーミングアップも万全です(笑)
では、これからこのハウスの周囲に「楽落くんNEO」を設置していきましょう!
と、その前にまずは設置に必要な道具が揃っているか確認です。
※今回は設置距離が200m以上だったため、画像にある黄色い電気柵本機ではなく、より強力な機種を導入しました。
また、資材セットのほかに必要なものはこちらです。
※上記は資材セットには含まれていませんので、事前にご準備ください。
※けが防止のため作業は必ず長袖・長ズボンで行いましょう!
資材の準備と確認が終わったら、次は整地を行っていきます。草が多く生えている場合は、除草してからレーキで、設置場所の地面を平らにならしましょう。
地面に凹凸がある状態で設置をすると、ネットの下に隙間ができ、そこから動物に侵入されてしまいます。これでは「楽落くん」本来の効果が発揮できません。
また、設置が終わってから整地するのはとても大変なので、設置する前に念入りにやっておきましょう。今回はハウスの後ろ側はかなり草が茂っていましたので、整地にやや苦労しました(汗
整地が終わったら資材の下準備です。今回使用した支柱には目盛りが付いていましたので実施しませんでしたが、支柱に目安となるラインが入っていない場合は、設置前にあらかじめ「支柱の打ち込み深さ」と「電気柵用のクリップ設置位置」を、油性ペンなどで目印で付けておくと便利です。
また、このタイミングで、先に支柱にクリップを付けておくとさらに効率が良くなります。こちらについては以前のブログでも紹介しています。
次は設置する位置を決めてガイドラインを引きます。今回はハウスがあるので、ハウスから50cm くらい離して、その周りを囲う形に設置しました。
どうしてもハウスからの距離が確保できない場合は、ハウスぎりぎりまで寄せてしまっても大丈夫ですが、柵線とハウス支柱の接触による漏電には気を付けて設置位置を決めてくださいね。
また、ハウスの左側には鉄のポールが立っていました。当然、これも漏電の原因になりますから、鉄のポールの間を縫うように設置することにしました。
漏電してしまうと、本来の電圧が流れず、電気柵として効果がなくなってしまいますから、障害物や作物との間は、できるだけ50cm以上離して設置 するようにしましょう。
この後、ネットを広げて支柱を打ち込んでいくのですが、ガイドラインなしで打っていってしまうと、支柱の並びが綺麗な直線にならず、見栄えもあまりよろしくありません。そこでネットを広げる前にまず、資材セットに入っている電気柵用の柵線(ワイヤー)を利用してガイドラインを引いておきます。
こうすることで、支柱を打ち込むラインが分かりやすく、ハウスから均等な距離を保ちながら直線状に設置しやすくなります。現場にあるものを上手に有効活用するだけでも、作業効率はグンと上がるのですね…(^^)
ではではガイドラインも引けたところで、楽落ネットを広げていきましょう!
ここでもワンポイントアドバイス!支柱の使い方をひと工夫するだけで、作業がしやすくなりますよ。
筒状に巻かれている楽落ネットの真ん中の穴に支柱を通し、一人はネットの端を持ち、もう一人はネットに通した支柱を持ちます。このように2人1組になって広げていくと、スルスルと簡単に広げられます。支柱も使いようによってはこんなに便利に使えるんですね~!
※この時、素手だと楽落ネットの端で手を傷つけてしまう恐れがあるので、必ず長袖でグローブや軍手などを着用しましょう!
また、ここで重要なのが「ネットの向き(裏表)」です。
楽落ネットは、ロールの内側(裏側)に向かって丸まってくる性質があるため、柵の外側、つまり動物が侵入してくる側にネットの内側がくる(ネットの反りが柵の外側を向く)ように設置します。理由は後述しますが、ネットを広げる際はネットの内側(裏側)が上に向くよう広げておきましょう。
楽落ネットが広げられたら今度はネットに支柱を通して、ハンマーで打ち込んでいきます。
一般的な電気柵の支柱間隔は4mの仕様が多いですが、楽落くんは2mです。間違えないように気を付けましょう!
その都度2mをメジャーで測っていくのは手間なので、2mの長さの棒などを予め何本か用意しておくと楽ですよ。今回は長さ2mの赤白ポールを使いました。
次に楽落ネットに支柱を通すのですが、ここがとっても重要なポイントになります!支柱を通してネットを立てた際、必ず、ネットの上端・下端は、畑の外側を向いていることを確認してください。
上のイラストと写真では上下の黄色い○の部分、ネットが外側に飛び出ていますよね?このように、ネットの端が外側を向くことで、忍び返し的な形状となり、より動物の侵入防止効果がアップします。
また、作業人数が多く確保できるのであれば、
と分担すると効率良く作業が進められます。
支柱の長さは約90cmなので、下部40cmくらいまで地面に埋まるようにハンマーで打ち込んでいきます。
※支柱には上下がありますので、尖っているほうを打ち込むように!
設置場所をぐるりと一周回って支柱を打ち込んでいったら、最後にネットの端と端を重ね合わせて支柱2本で固定します。ここは隙間が生じやすい箇所なので、2本の支柱とネットを結束バンドできっちり固定してもいいかもしれないですね。
コーナー(角)部分は、平面の部分と比べて荷重(テンション)が強くかかります。強度が弱いと感じる場合は、支柱を農地の外側に反らせるように2本打ち込み、支柱にかかる力をなるべく分散させてあげると安心です。
これで、支柱の打ち込みは完了です。
獣害対策をするにあたって大切なことは「動物の目線になって考えること」です。人間の目線は高いので、楽落くんを上から見下ろしたり、全体を見渡すことができます。
一方、中型動物たちの目線は地面に近く、私たちと見えている世界は全く違います。特にハクビシンの目線は低く、地面から10cmくらいのところです。
物は試し、設置した楽落くんの外側と内側、両方で腹ばいになってネットを見上げてみてください。こうしたとき、ネットが忍び返しになっている状態のほうが侵入しにくいと感じませんか?
これがハクビシンの気持ちです。常にこういった視点を持つことが獣害対策において大切な考え方となるのですね。
さて、ネットと支柱がしっかりと設置出来たら、次は支柱にクリップを付けていきましょう。
厳密には、クリップに通す柵線が、ネットの5cm上に通るようにします。楽落ネットの高さが33㎝、その上5㎝の高さに柵線を設置。この「33㎝+5cm=38㎝」という高さは、ハクビシンやアライグマなどの中型動物が鼻で匂いを嗅いだり、手で触ったりしやすい絶妙な高さなのです。
電気柵は、動物に感電させて「この柵は痛いもの、怖いものだから近寄りたくない」と感じさせることが最も重要な「心理柵」です。
動物は体毛のある部分が柵線に触れてもほとんど感電しませんので、鼻や肉球など、肌が露出した部分に触れさせる必要があります。だからこそ、中型獣の特性上、鼻や前足が触れやすい高さ設定が重要になってくるのです。
クリップは洗濯ばさみのように、取手を握って力を入れるとリングが緩むようになっています。取手を握りながら、支柱に通して、取手を離すことでクリップが固定されます。
これも柵線ができるだけ動物に触れやすいようにするためですね。
はい、クリップを付け終えたら、柵線(ワイヤー)をクリップに通していきましょう。
※今回はガイドライン用に既に柵線を伸ばしていましたが、まだの場合は、ネットを張った周りを囲うように柵線を伸ばしていきましょう。
楽落くんのクリップは針の穴に糸を通すように、柵線の端っこをクリップの穴に通していく必要はありません!柵線のどの位置でもクリップに通すことができるのでとても便利です。
柵線の通し方については以下の動画が分かりやすいですよ。
ワイヤーの結び方は、特に決まっていませんが、ひと結びが一般的で、余った部分はしっかりとワイヤーに巻き付けるか、隙間ができないように結びます。この余った部分をそのままにしてしまったり、結び目に隙間があると、電気が流れるたびに「パチン!」とショートしてしまい、本機の故障や柵線の劣化などの原因になってしまいます。
そこでライターの出番です。余ったワイヤー部分をライターで炙り、ポリエチレン線を溶かしてしまうことで、ステンレス線だけが残りますので、ワイヤーにしっかりと絡ませることができます。
次は、結束バンドで柵線とネットの間隔を固定しましょう。
結束バンドは1スパン(1支柱間)あたり、3カ所程度(約50cm間隔)を目安とし、ネットと柵線との距離が約5cmに保たれるよう、固定してください。3カ所留めてもネットと柵線の間が空いてしまいそうな場所については、3カ所以上留めて、隙間が空かないように適宜調整しましょう。
結束バンドで固定されたことにより、例えば、動物がネットに足をかけネットが下がっても、ネットと柵線の間隔は5cmで維持されるので、動物はネットと柵線の間を潜り抜けられなくなりました。
私も講習会参加者の皆さんにこの理由をがんばって説明しました!頭ではわかっていても、どうすればよいのか、なぜそうするのかを実際にモノを使って説明するのは難しいものですね(;^_^
ここまでできたら、設置したところをぐるっと見て周り、
を確認をします。
地形的にどうしても隙間が空いてしまう場合は、U字ピンやアンカーなどでネットの裾部と地面を固定して密着させるようにしましょう。
また、地際部分を土寄せする場合、まずは柵の内側から外側に向けて土寄せし、その次に柵の外側から内側に軽く土寄せを行います。先に柵の外側から内側に土寄せをしてしまうと、ネットが反り返ってしまい、そこに隙間ができてしまう可能性があります。
さて、「楽落くんNEO」の設置が概ね完了したら、最後に電気柵本機を稼働させて通電しましょう。
※通電する前に、人や散歩中の犬などが知らずに柵線に触れてしまわないように、危険表示板を必ず設置しましょう。
※今回は「楽落くんNEO」セットの電気柵本機よりも強力な機種を使用していますので、見た目が異なります。
白いコード(出力コード)は柵線につなぎ、黄色いコードはアース棒(マイナス棒)を接続し、アース棒を地面に埋め込みます。アース棒は金属の部分が全て地中に埋まるように深く埋め込みましょう。
電源を入れたらテスターを使って、電圧を測りましょう。
通常4,000V以上あれば動物の撃退に有効とされていますが、漏電等のリスクも考えて6,000Vくらい出ていたほうが安心です。テスターで測った時に、4,000Vを下回っている場合は漏電している可能性があります。
漏電についてはこちら「誰でもわかる!はじめての電気柵 6.故障かな?と思ったら」で詳しく解説しています。
電気柵本機には、スペック、機能など様々な種類のものがありますが、夜間のみ通電させ、昼間は通電しないように設定できる「省エネモード」機能が付いている機種もあります。多くの動物は夜行性、または人のいない夜間に侵入するため、動物があまり出没しない昼間は余分な電力を使わないよう節電するためのモードです。
「へ~!運用コストもばかにならないから節電できる機能はいいですね!」と思うかもしれませんが、地下足袋部長曰く、「電気柵を獣害対策として設置する場合は、24時間通電させるようにしましょう!」とのこと。それは一体なぜでしょうか?
たとえば、電気柵が通電していないときに、動物がやって来た場合のことを考えてみましょう。
電気柵とは、フェンス、金属柵、ネット柵など、物理的に動物が侵入できないようにする「物理柵」とは違い、動物が感電する際の痛み、驚きを与えることによって「電気柵=恐いもの」ということを動物に認識させることではじめて、その効果を発揮する「心理柵」です。ですから、通電していない柵線に動物が触れた場合、動物からすれば柵線はただのヒモと変わらない認識を持ってしまうのです。
一度これを学習してしまうと、その後たとえ通電していたとしても、そもそも柵線はただのヒモだと認識していますので、動物特有の探査行動(確認のために鼻や前足で触れたりする行動)すらしなくなり、警戒心もなくすぐに侵入しようとします。上述した通り、動物の体毛のある所に柵線が触れてもほぼ電気を感じませんから、こうなってしまうと「心理柵」としての効果は大きく失われてしまいます。
これを避けるため、「電気柵を獣害対策として設置する場合は、24時間通電させるようにしましょう!」ということなのですね。電気柵の設置作業が数日にまたがる場合、作業途中でも、柵線を張ったのであれば、柵線に動物が触れてただのヒモと認識させてしまわないよう、人が離れる夜間は必ず電気を通すようにしてください!
ちなみに、当店にも
などといった質問、お問い合わせがよくありますが、電気柵は柵線を1周回さなくても通電できるのです^^
今回のいちご園オーナーさんより、いちごハウスの出入口周りはなるべくスペースを取ってほしいと要望いただいていましたので、ハウスの扉を開いても、「楽落くん」に触れないよう、広めに間隔を取って設置しました。
「楽落くん」は高さ約40㎝と低いので、人だけであれば簡単に跨いで農地への出入りができるのですが、農地に重機や猫車を頻繁に入れる場合、ネットごと開閉できる簡易ゲートを作ることをおすすめします。
塩ビ管ひとつで簡単にできてしまうので、ぜひ試してみてください!
さて、これで「楽落くんNEO」の設置は完了しました。
ですが、このいちごハウスの場合、もう一点対策をしなければならないところがあります。それはどこかというと……そう、ハウスの周りの鉄柱ですね。
ハクビシンは木登りがとても得意な動物ですから、この鉄柱のような垂直で取っ掛かりのない棒でも器用に登ってしまいますし、鉄柱の上に伸びているコードも伝って縦横無尽に移動できてしまいます。上の写真を見てわかる通り、手前の鉄柱(赤い矢印)は楽落くんの外に出ています。この鉄柱を登り、コードを伝って奥の鉄柱へ移動されてしまったら、奥の鉄柱(黄色い矢印)は楽落くんの中にありますから、そこから降りればハウスの中に入ることができますよね。
そこで、「有刺鉄板」を使って、鉄柱を登ることを防ぎます。有刺鉄板は、長さ80cm×幅12.5cm 厚さ0.2mmで、高さ6mmのチクチクした突起の付いたスチール製(「ステンレスタイプ」もあります)の板です。
突起がとても鋭いので、作業をするときは必ず皮手袋などの厚手の手袋を着用しましょう。私も試しに素手でチクチクを触ってみましたが、少し触れただけでも痛いです!こりゃハクビシンはひとたまりもありませんね。この「有刺鉄板」を鉄柱に巻き付けることによって、ハクビシンは登れなくなります。
一カ所に設置する枚数は2枚だと跨がれてしまう恐れがありますので、3~4枚くらい並べて、結束バンドや針金などで固定し設置すれば安心です。鉄板と鉄板の間隔も、2~3cmくらいなら隙間が空いていても問題ありませんが、なるべく隙間は詰めて取り付けましょう。
地下足袋部長を筆頭に、私たちスタッフは、引き続き、このいちごハウスに設置した「楽落くんNEO」のその後をモニタリングしていく予定です。
この記事を書いた人
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投稿日:2023年11月15日
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