投稿日:2018年4月6日
【注意】マダニ被害対策~イノシシ・シカ等の動物に潜むマダニ~
投稿日 : 2018年10月12日
更新日 : 2024年04月22日
「鳥獣被害対策.com」の宮畑です。
今日の鳥獣害対策の知恵袋は、イノシシやシカ、アライグマなどに咬着するマダニのお話しです。
目次
イノシシやシカなど野生動物に潜むマダニに注意
野生のイノシシやシカ等の大型獣、タヌキ、アライグマなどの中型獣には必ずといっていいほど、マダニ類が咬着しています。
一般的にマダニ類の活動が活発になる時期は春から秋にかけてです。
この時期には寄生動物を求めて草先や枝先等に集まり、葉先に獣の体が触れた瞬間に付着するという行動をとります。
このため、ハイキングや登山時に葉先に触れたり、草はらでの休憩時に座ったりしたときに衣服に付着し、わきや腹、内腿等の皮膚の柔らかい部分へ移動して口器を皮膚に差し込んで咬着し吸血します。
なお、冬季にも活動しているマダニがおり、シカやイノシシには相当量のマダニ類が咬着しているため、狩猟期間中でも注意が必要です。
マダニに咬まれるとどうなるの?
マダニ類に咬着された瞬間はわからないことが多く、入浴時などに初めて咬着されていることに気づくことが多いです。
咬着してしばらくするとセメント物質を分泌してしっかりと固着してしまうので、引っ張ってもとれません。
無理に引っ張ると体がちぎれ、口器等の体の一部が皮下に残って化膿したりするので、皮膚科等で摘出してもらう方が無難です。
咬着期間は数日から10日間くらいあり、腹部が徐々に膨れていきます。
ダニの大きさは1~5mmくらいで、肉眼で十分見える大きさですが、吸血前は平べったく皮膚の上にのせても重さは全く感じません。
皮膚の上を歩かれても「何かが歩いている」という感覚は一切ないため、この段階で気づくことはほぼ不可能です。
吸血すると100倍以上の大きさになります。
マダニに咬まれないための工夫(狩猟時)
マダニ類は成長過程で幼ダニ、若ダニ、成ダニのステージがあり、どのステージでも1回は吸血します。
成長段階で寄主となる動物が異なることも多く、
- 幼ダニは小型哺乳類等
- 若ダニは中型哺乳類等
- 成ダニは大型哺乳類等
におもに咬着します。
狩猟などで、獲物をそのまま担いで運ぶときは、業務用の大型のビニール袋等でくるんで運ぶことをお勧めします。
血が付着して衣服が汚れることもそうですが、何よりマダニ類が相当量寄生していることが多いため、そのまま担いだら体にマダニが付着して刺されるリスクが高まります。
マダニ類に刺された後は、かなりかゆく、かゆみがしばらく続くのでそれだけでも不快です。
マダニに刺されることのリスク(感染症)
なお、マダニ類に刺されることでのリスクでより大きいことは、感染症の原因となるウイルスやリケッチア、細菌等を保有している個体に刺されることで、これらのウイルス等による感染症を発症する恐れがあることです。
マダニに刺されたからといって必ずしもこれらの感染症にかかるわけではなく、発症しても適切な治療で回復する場合がほとんどですが、重篤化し死亡するケースもあるため注意が必要です。
イノシシ、シカにも咬着しているマダニ類が媒介する感染症としては、
- 日本紅斑熱(キチマダニ、フタトゲチマダニ、ヤマトマダニ等が媒介)
- 回帰熱(シュルツェマダニ、ハブロブスキーマダニ等が媒介)
- ライム病(シュルツェマダニ等が媒介)
- ダニ媒介脳炎(ヤマトマダニ等が媒介)
などが知られていました。
また、
- 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)(フタトゲチマダニ、タカサゴキララマダニ等が媒介)
というウイルス感染症が2013年に国内でも確認されました。
主に西日本での発症ですが致死率が高くすでに60名以上の方がなくなっています。
その他の感染症の発生地域は、
- 日本紅斑熱は関東以西
- ライム病は本州中部以北(特に北海道と長野県)
- 回帰熱、ダニ媒介脳炎は北海道
で発生しており、どの地域であっても感染のリスクはあると考えておいたほうが無難です。
イノシシ・シカ等解体時の注意点
野外での下処理後、獲物を持ち帰って解体等をする機会も多いかと思います。
剥皮、解体時には、まだ獲物にダニが多く付着しています。
吊り下げて洗浄後に剥皮をしていると、体表にいたマダニ類が獣毛の毛先に上ってきたり、床に落ちて徘徊します。
作業中はこれらのマダニ類が服や皮膚につかないよう注意します。
入浴の際にもわきや頭、内腿等にダニが咬着していないか確認するとともに、作業時に着ていた服はすぐに洗濯する方が無難です。
また、作業終了後には床や壁面に殺虫剤を噴霧するなどしてダニを退治しておくことが必要です。
もしもマダニに刺されてしまったら?
もし、マダニに刺されたら数日間は体調の変化に気を付けましょう。
- 刺し口が黒いかさぶた状になる
- 発疹ができる
- 発熱する
- 倦怠感がある
等の症状が現れたらすぐに病院で検査を受けましょう。
インフルエンザ様の症状であったり、別の要因の発疹と誤診される恐れもあるため、マダニに刺されて感染症になった可能性があることをしっかり医師に伝えるようにしてください。
この記事を書いた人
関連記事
野生鳥獣と人が共生するための技術 ~アニマルパスウェイってなんだ?~
投稿日:2015年9月3日
投稿日:2015年1月22日
投稿日:2014年6月10日
投稿日:2014年4月8日
投稿日:2014年4月2日
先頭へ