AIによるトレイルカメラの野生動物識別【第5回】識別能力の検証
投稿日:2024年5月10日
運営会社:株式会社 地域環境計画
投稿日 : 2017年02月16日
更新日 : 2024年07月31日
こんにちは「鳥獣被害対策.com」の成田です。
今日の鳥獣害対策の知恵袋は、狩猟時期の前に行うカメラトラップ調査の有効性についてご紹介します。
これを読めば、くくり罠の捕獲効率のアップ間違いなしです!
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狩猟シーズンを充分に満喫できるか否かは、実際の狩猟活動に入る前の、緻密な“現地下見や状況把握に大きく左右されます。
つまり・・・下準備がどれだけ周到にできているのか?で、後の捕獲成功率を大いに向上させることができるのです。
そこで、今回は2台の自動撮影カメラを活用して、二ホンジカとイノシシの生息状況と、くくり罠設置のための、獣道の利用頻度の確認を行いました。
ちなみに、自動撮影カメラは“センサーカメラ”とも呼ばれ、最近ではよく“トレイルカメラ”という名称で呼ばれることもあります。
場所は、九州・福岡県中部に位置する、農地やスギ林、竹林などが混在する中山間地です。
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今回使用した、センサーカメラは、次の2台です。
※両機種とも販売終了しています。
1つめは、『Browning リーコンプラチナム』です。
この自動撮影カメラは、音声付き最高画質フルHD動画を撮影することができます。
また、Browning リーコンプラチナムは、ローグローLEDにより、夜間照射距離30mと真っ暗な環境でも明るい画像を撮影でき、被写体ブレも軽減できます。
さらに、日中であれば、設定した動画撮影時間が終了しても、対象がいれば最大5分間の自動延長できるスグレものです。
自動撮影カメラ「Browning リーコンプラチナム」
樹木に自動撮影カメラを設置しています。
背景に馴染んでいますね。
もう1つは「ハイクカムSP158-J」です。
自動撮影カメラ「ハイクカム SP158-J」
こちらの自動撮影カメラも、背景に馴染んでいます。
こちらのカメラは、撮影した静止画像をメールでPC、スマートフォンなどに送信することができる自動撮影カメラです。
なぜ、撮影した画像がすぐに、PCやスマートフォンなどに送信されてくるのか?
それは、カメラの本体にSIMカードが搭載されているからです!
この通称、“ワイヤレス自動撮影カメラ”は、最近、注目を浴びている一押しの自動撮影カメラです。
ちなみに、このハイクカムSP4Gは、動画送信も可能です!
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この2台は、本体にモニターを搭載しているので、現場でも撮影された画像の確認が可能であるなど、そのほか様々な機能を有している「鳥獣被害対策.com」で取り扱っている機種です。
結果はすぐに得られました。
カメラ設置初日から、ほぼ毎日のように二ホンジカが撮影されました。
「Browning リーコンプラチナム」で撮影された画像は、どのカメラよりも高画質で繊細な画像で、二ホンジカの詳細な姿を観察することができました。
Browning リーコンプラチナムで撮影
Browning リーコンプラチナムで撮影
特に、角の立派なオスジカがたびたび撮影され、中には吠えている姿が映っているものもありました。
設置場所付近がこのオスの縄張りではないかとも思われます。
音声録音機能があるタイプの自動撮影カメラは、鳴き声を確認することもできるのが利点ですね。
Browning リーコンプラチナムで撮影
また、「ハイクカムSP158-J」は、設置場所の電波状況があまり良くなかったため、一部は送信されてませんでしたが、複数枚撮影されたシカの画像がPC、スマートフォンに送信されてきました。
いつもながら、撮影された写真がすぐに送られてくると、ドキドキします。
ちなみに、下の写真の撮影時間は、深夜であったため、私は熟睡していました・・・
ハイクカム SP158-Jで撮影
ハイクカム SP158-Jで撮影
今回の調査(撮影)では、二ホンジカが多く撮影されたことから、くくり罠の設置エリアとしては、有効であることがわかりました。
しかし、イノシシは撮影されませんでした。(残念!)
付近にはイノシシと想定される掘り返しなどの痕跡も見られたので、期待をしていたのですが・・・私としては二ホンジカよりも、イノシシのお肉を食べたかったので、少々残念な結果でありました。
また、自動撮影カメラを活用したことで、獲物の多少だけではなく、詳細な行動を把握することもできました。
これは、とても大きな収穫でした。
具体的には、獣道の利用状況です。
「ハイクカムSP158-J」を設置した獣道は、私の想定どおり、頻繁に利用していることが確認されました。
ハイクカム SP158-Jで撮影
一方、「Browning リーコンプラチナム」を設置した場所では、カメラ中央の獣道はあまり利用している様子は撮影されず、画面の左隅に通っている、隣の獣道の方を多く利用していることが、自動撮影カメラの調査によってわかりました!
Browning リーコンプラチナムで撮影
今回の自動撮影カメラを活用した観察調査によって、この付近では二ホンジカが主な狩猟ターゲットになりうること、また、高い確率で捕獲が期待できる獣道の目星をつけることができ、今後の狩猟活動に役立つ情報の収集に成功しました。
今回、活用した自動撮影カメラは、それぞれ個性が違いますが、両機種とも高い性能を発揮しました。
「Browning リーコンプラチナム」は、高画質で撮影された画像により、普段見ることのできないシカの姿や詳細行動、「ハイクカムSP158-J」では、メール送信機能により、リアルタイムでシカの行動を観察することができました。
自動撮影カメラは、野生動物の調査・研究で使うものでしょ?と、思われがちですが、今回のように、猟期が始まる前の事前観察や捕獲方法の計画に大いに役立つものです。
今までに自分たちが培ってきた、狩猟経験から裏付けされる『感』に加えて、自動撮影カメラを併用し、来るべく猟期に向けて、猟欲をたぎらせるのもまた狩猟の魅力の一つではないでしょうか。
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