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野生動物の利活用レポート③~鹿角の使い道~

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こんにちは、「鳥獣被害対策.com」の久野です。

今日の鳥獣被害対策の知恵袋は、動物資源の有効活用のうち、“角(ツノ)”についてのお話です。

動物資源の有効活用といえば、最近は“ジビエ”が徐々に注目されはじめていますね。

数年前と比べて、道の駅などでシカやイノシシの加工食品を目にする機会が増えたように感じますし、ジビエ料理専門店がオープンしたといったニュースも各地で聞くようになりました。

さて、みなさんは1年に捕獲される野生動物のうち、食肉などに利用されるのは何割くらいだと思いますか?

最も多く捕獲され、利用されているシカ・イノシシについて考えてみましょう。

環境省統計資料によると、平成25年(2013)に捕獲されたシカ・イノシシは、狩猟とその他(有害捕獲等)を合わせて、964,500頭と発表されています。

※環境省ホームページ『狩猟及び有害捕獲等による主な鳥獣の捕獲数』を元に作成。

このうち、何割が食肉などの動物資源として利用されているかは、正確にはわかりませんが、NPO法人日本ジビエ振興協議会によると、「捕獲されたシカ・イノシシが食肉として利用される割合は、数パーセントにすぎない」としています。

肉以外にも、皮や角、骨などが利用されることはありますが、それらは肉と比べて利用割合が低いため、捕獲された動物が何らかのかたちで利用される割合は、肉以外の部位を含めたとしてもやはり数パーセントと考えてよいでしょう。

なお、動物資源を利用してきた人類の歴史については、中島久恵さんの著書、『モノになる動物のからだ 骨・血・筋・臓物の利用史』(批評社)に詳しくまとめられています。

※画像引用元 Amazon.co.jp

人間が動物資源をどのように利用してきたかについて興味のある方はぜひご一読ください。

実は、かくいう私も動物資源の利用に興味のある一人であり、趣味で皮なめしや肉の燻製などを行っています。

↑皮なめしをしたタヌキ

※皮なめしの様子については、「野生動物の利活用レポート①~皮から革へ~」をご覧ください。
https://www.choujuhigai.com/blog02/archives/4015

肉や皮以外に、角や骨にも興味があり、猟師さんから譲り受けたり、山で拾ったりしたものをコレクションしています。

※公園等では動植物や土石の採取は規制されている場合があります。

↑イノシシの頭骨

そしてつい先日は、「山を歩いていたら角を拾った」という方から、鹿角を譲っていただきました。

↑いただいた鹿角

みなさんご存じのとおり、鹿の角は毎年生え変わるので、運がよければ鹿の角を拾うことがあります。

そうした角のことを、落角(ラッカク、オチツノ)と呼んだりします。

ちなみに、いただいた鹿角は分岐が3又だったので、4歳以上の雄鹿と思われます。

※角の分岐でおおよその齢推定ができます。

さて、それでは鹿角を利用して何か作ってみましょう。

書籍によると、古来より鹿角は様々な用途で利用されており、日本でも縄文時代の地層から、角を用いた装身具や、刃物、矢じりなどが出土しているそうです。

私も原始的にそれらの道具を作ろうかと考えたのですが、あいにく装身具(アクセサリー)は腕時計以外しませんし、刃物は丈夫な金属刃物が開発されている現代において、あまり制作する意義が感じられません。

矢じりに至っては、弓矢による狩猟が禁止されている日本では使うこともできません…。

そこで、現代の鹿角の用途としてポピュラーである、ナイフの『柄』を作ってみることにしました!

角で作ったナイフの柄は、一般に「スタッグハンドル(stag handle)」と呼ばれます。

今回は、木製の柄の折り畳みナイフをスタッグハンドルに変えてみます。

まずは元のナイフを刃と柄の部分に分解します。

このとき日本刀と同じ「目釘(めくぎ)」を抜くことで分離できるのですが、ナイフの目釘は小さいのでなくならないように気をつけます。

目釘はハンマーとポンチがあれば押し出すことができます。

↑抜く途中の目釘。ここまで出せばあとはプライヤーで引き抜くことができます。

↑分解した折り畳みナイフのパーツ

次に柄にしたい角の部分を糸ノコギリで切ります。

角は曲がったり捻じれたりしているので、いろんな場所で握り心地を確かめてから切り出す部分を決めます。

その後、糸ノコギリと紙やすりでさらに形を整えます。

やり直しがきかないので、今回のように元の型がある場合は、ノギスなどでしっかり採寸しておきましょう。

写真を撮り忘れましたが、元のナイフの金属部が鹿角にぴったりはまるようにサイズを調整するのに非常に苦労します。

あとは目の細かいやすりで細部を磨き上げ、最終的にこのような仕上がりになりました。

適度な凹凸が手になじみます。

少しだけ右に曲がっていますが、それはご愛嬌ということで…。

今回は鹿角の持つ自然な質感を活かすため、接合部以外に極力やすりはかけていません。

さらに表面にまでやすりをかければ、滑らかで白い仕上がりにすることもできます。

表面のこげ茶色の部分は、シカが樹皮に角をこすりつけた際のヤニや、泥あびした際に付着した土などなので、気になるのであれば削り落とすこともできます。

作業には2日ほどかかりましたが、電動の糸鋸盤や、ボール盤があれば、きっと1日もかからずにできるでしょう…。

余談ですが、実はナイフの刃の部分にも手を加えており、黒錆加工を施したので、銀色の刃から黒色に変化しています。(鳥獣被害対策のブログなので割愛します…。)

やはり、道具は、試行錯誤しながら“カスタマイズ”することによって、構造や特性に対する理解が深まりますし、世界にひとつだけのものになって、愛着が増しますね!

野生動物の利活用は、近年ジビエに特に注目が集まっていますが、

についても目を向けてみれば、新たな価値を発見できるかもしれません。

以上、野生動物の利活用レポート③でした。

また、新たな野生動物の利活用を発見し、皆さまに情報提供したいと思います。

★野生動物の利活用レポート①~皮から革へ~
https://www.choujuhigai.com/blog02/archives/4015
★野生動物の利活用レポート②~カンピンタンを求めて~
https://www.choujuhigai.com/blog02/archives/4170

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★シカ被害でお困りなら⇒
https://www.choujuhigai.com/fs/chiikan/c/deer
★タヌキ被害でお困りなら⇒
https://www.choujuhigai.com/fs/chiikan/c/tanuki
★イノシシ被害でお困りなら⇒
https://www.choujuhigai.com/fs/chiikan/c/boar

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この記事を書いた人

久野 航

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