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狩猟サミットで野人を超えた超最野人に遭遇!

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こんにちは、「鳥獣被害対策.com」の久野です。

今回の鳥獣被害対策の知恵袋は、10月24~26日の3日間、京都で開催された、第3回狩猟サミットの様子についてお伝えします。

「狩猟サミット」とは?

狩猟サミットは

  • 狩猟に携わっている人
  • これから狩猟をしたい人
  • 里地里山保全をしている人
  • ジビエが好きな人

などなど、狩猟や自然に興味がある人たちが集まって、狩猟や持久的な暮らし、人間と動物の関係などについて、2泊3日の合宿形式でとことん語り合うイベントです。

3年目の開催となる今回は、北海道から九州まで、全国から150名もの方々が京都に集まり、3日間にわたり熱い意見交換を行いました。

狩猟免許をとったばかりの私は、今回が初めての狩猟サミット。

参加する前のイメージでは、かなりワイルドな雰囲気のイベントかと思っていましたが、実際に行ってみると、若い方や女性も多く、ロゴマークなどのデザインも洗練されていて、非常に参加しやすい雰囲気のあるイベントとなっていました。

・狩猟サミットロゴマーク

「狩猟サミット」の内容

“「自然を守り活かす」生き方、暮らし方を問う”というコンセプトが掲げられている狩猟サミット。

3日間のプログラムでは、各方面で活躍するゲストスピーカー達が、

  • 狩猟を取り入れた暮らしの紹介
  • 野生動物による植生被害の現状
  • 狩猟活動に関わる倫理問題

など、様々なテーマでプレゼンテーションを行いました。

それを受け、会場の参加者が意見交換、質疑応答をするというのが基本的な流れとなっています。

また、

  • 獣肉解体処理施設の見学
  • 動物の痕跡探しワークショップ
  • シカによる植生被害の現状を学ぶツアー

など、たくさんのイベントがあり、どれに参加するか悩んでしまうほど、盛りだくさんの内容となっていました。

・狩猟サミットメイン会場の様子

出身や職業は違えど、「狩猟」という共通項を持って集まった、熱意のある参加者達。

各プログラムやイベント中の意見交換の場では、終了時間になってもなかなか話が終わらず、プログラム終了後も、毎晩 “朝まで生テレビ”ならぬ、“朝まで生狩猟談義”が繰り広げられておりました。

そのようにとことん話ができるのも、3日間寝食を共にする狩猟サミットならではの魅力ではないかと思います。

野人を超えた野人とは?

非常に個性的な人達が集まるのも狩猟サミットの魅力のひとつ。

なかでも趣味ではなく職業として狩猟をされている方は、いずれも強烈な個性をお持ちの方ばかり。

例えば、ある方は、周囲から尊敬の意を込めて「野人」と呼ばれており、実際にお会いしてみると、自給生活で鍛えられたたくましい体が、ただものではないことを物語っていました。

その方は自分で捕獲した野生動物を、自分が職人と手伝って建てた食肉処理施設で加工し、販売して生計を立てているという、いわゆる「プロ猟師」に分類される方です。

また、スズメバチを捕獲し、研究機関や料亭に販売していることから、スズメバチの扱いに長けており、スズメバチの感情(表情?)がわかるという超人的な能力をお持ちでした。

「たいていのシカなら自分の威圧で怯えさせることができる。」と仰る、通称「野人」。

この方だけでも相当衝撃的なのですが、その野人が、尊敬の意を込めて「超最野人(スーパーサイヤ人)」
と呼ぶ方は、さらに拍車をかけて強烈な個性をお持ちの方でした。

・一般人、野人、超最野人の比較画像

超最野人は、まずその出で立ちから違います。

身につけているものはほぼ手作り。

毛皮(キツネ?)の帽子、シカ革の服、そして手には槍と棍棒(猟具の紹介ということで特別に持参)です。

この方は1年を通してほぼ毎日と言っていいほど出猟し、有害駆除や、狩猟技術の講師などで生計をたてておられる、いわゆる「フルタイム猟師」。

銃やわなはもちろん、先人がかつて使っていた猟具や、海外の狩猟民族が使用する猟具など、あらゆる猟具に精通しており、またそのほとんどが手作りというから驚きです。

さらにそれらの猟具(上図)は、できるだけ天然素材にこだわり、木やシカの角を加工し、動物の腱で
つないで作るというこだわりっぷり。

本格的な狩猟経験のない私は、そんな圧倒的な個性を前に、終始驚きっぱなしでした。

ただ狩猟業界のトップランナーがそうした方たちばかりでは、「猟師ってそんなにワイルドになら
なくちゃいけないの…?」と、不安に思う方もおられるかもしれません。

しかし、必ずしも野人、ましてや超最野人になる必要はないのです。

意見交換の際にある野人さんがこう仰っていました。

「最初からプロ猟師になろうと思ってはいけない。自分の生活の範囲内で、どういう狩猟ができるか、まずは始めてからいろいろ感じてみることが大事」と。

とにかく始めてみて、狩猟という行為に等身大で向き合ってみることで、自分なりの暮らし方、野人でも超最野人でもないオリジナリティが見つかるのかもしれません。

「狩猟サミット」に参加してみて感じたこと

今回の狩猟サミットに初参加しての一番の感想は、「いろんな考えを持って、みんな狩猟と向き合っているんだなあ」ということです。(小学生のような感想ですみません…。)

狩猟という共通項を持って集まりながらも、

  • ジビエ
  • 獣害対策
  • 自給生活
  • 地域おこし

など、興味の方向が異なる参加者たち。

そうした多様な方たちと交流することによって、自分が暮らしのなかでどのように狩猟をしていきたいかを、改めて考えさせられました。

趣味としてやっていくのか、それともそれ以上のステージに進みたいのか。

いずれにせよ、プロ猟師の方曰く、「本気で生きている動物を相手にするんだから、自分も本気で狩猟しなくちゃダメ。動物に失礼だし、大ケガするよ。」ということでした。

私も今年は狩猟者登録をすませて、わな猟を始める予定ですが、これから本気で狩猟をやっていきたいと思います。

頑張れば半野人くらいにはなれる…かも。

「狩猟サミット」はこんな方におすすめです

  • 狩猟をしていて仲間を増やしたい人
  • 狩猟をしたことないけど興味がある人
  • 獣害で困っている人
  • 野生動物資源を活用して何かをしたい人(料理、ものづくりなど)
  • 田舎暮らしに興味がある人
  • 自然と関わる仕事を探している人

狩猟関係のことや、自分のライフスタイルについて悩んでいる方は、狩猟サミットに参加して、いろんな人の話を聞いてみれば何かしらの答えが見つかるかもしれません。

以上、『第3回狩猟サミットin京都』の参加報告でした。

ちなみに私は来年も参加予定です。

参加される方は、来年お会いしましょう!

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この記事を書いた人

久野 航

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