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野生鳥獣と人が共生するための技術 ~アニマルパスウェイってなんだ?~

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こんにちは「鳥獣被害対策.com」の園田です。

本日は野生鳥獣と人が共生するための技術、アニマルパスウェイってなんだ?についてのお話です。

「アニマルパスウェイAnimal Pathway 」とは、「道路上等に人工的につくられた樹上性小動物の通り道」を意味する造語です。(詳細は文末参照)

例えば、森がある場所に道路がつくられると、森は道路によって二つに分断されてしまいます。

そうすると、リス、ヤマネ、モモンガといった木の上を生活の場として利用する野生動物はどうなるでしょうか?

◆四択です◆(複数回答可)

  • a:餌を食べに行く途中で道路に降りて、車にひかれる。
  • b:道路に出ると大きな動物に襲われたり、車との事故が怖いので、違う餌場を探しにいく。
  • c:森の中で仲間たちと暮らしていた動物たちは、道路によって仲間とのつながりが断たれる。
  • d:果敢にも道路を飛び越えて、森と森の間を移動する。

答え:a~cが正解です。

  • a :一般的にロードキル(Road-kill)といわれ、日本ではシカやタヌキの交通事故が非常に多いです。
  • b :道路が移動の障害になり、本来の動物の行動を変えてしまいます。これはバリアー効果と呼ばれます。
  • c :種の間で交流が行われなくなることによって、繁殖が制限され、種の遺伝的な多様性が低下し、種を絶滅に導くといわれています。
  • d :モモンガ、ムササビといった皮膜を持った動物は飛んで移動することができるかもしれませんが、ほとんどの動物は移動が制限されてしまいます。これらの動物も道路を飛び越えようとして、車にぶつかることもあるようです。

このような背景から、近年ではこれらの問題を解消しようとして、森と森をつなぐ吊り橋や道路の上を通過するためのトンネル状の橋、道路の下を通過するトンネルなど様々な形状の施設が開発され、国道や県道、市道に設置されています。

一枚目の写真は、樹上性哺乳類のためのアニマルパスウェイです(北杜市市道 園田撮影)。

市道上に設置され、ヤマネやヒメネズミ、ニホンリスが横断しています。

次は、トンネルの上を中型哺乳類が通過するように建設されたオーバーパスです(圏央道園田撮影)。

主にタヌキが横断するために利用しています。

北海道の斜里エコロードはエゾシカと自動車の衝突事故が多発していたことから、平成6年から9年にかけて様々な対策が施行され、衝突事故が半減しました。

写真は鹿通橋です。

これらの施設は、一般的に道路横断施設とよばれ、道路建設において野生動物の生息地に対する代償手段(※)として使用されます。

※開発を行う際に、環境への影響を最小限に抑えるための代替となる処置のこと。

また、これら道路横断施設を設置した効果を検証するために、近年では赤外線センサーカメラが使用されます。

赤外線センサーカメラを使用すると、昼夜を問わず、動物の利用状況を撮影することが可能です。

★センサーカメラ(自動撮影カメラ)はコチラ⇒
https://www.choujuhigai.com/fs/chiikan/c/camera

下の写真はボックスカルバートを通過するノウサギです。

下の写真はボックスカルバートを通過するテンです。

このように、道路横断施設が設置されたことにより、道路によって分断された野生動物の生息地間を多くの野生動物が安全に横断することが可能になりました。

道路横断施設は、野生動物と人間が共生する上で、非常に有効な役割を担っています。

一方で、道路によって分断されたことで農業被害をもたらす野生動物の移動が制限され、せっかく被害が減っているのに、道路横断施設をつくったことで、また動物が移動してきてしまうといった声も聞かれます。

また、外来種であるアライグマ、ハクビシンが道路横断施設をつくったことにより分布を拡大するのでは、といった心配の声も聞かれます。

これらの動物への対策としては、定期的なモニタリングによる侵入の予防が原則です。

また、侵入が確認された場合には、早期の対策が重要になります。

対策方法などのご相談はお気軽にお問合せください。

【アニマルパスウェイ】とは、アニマルパスウェイ研究会によって考案された造語です。

詳細は、「アニマルパスウェイ研究会 生物技術者連絡会ニューズレターNO.40.2007.09.30」(小松裕幸)を参照してください。

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