投稿日:2018年2月26日
鳥獣被害対策の『講習会』を実施しました
投稿日 : 2015年07月17日
更新日 : 2024年03月21日
こんにちは「鳥獣被害対策.com」の唐橋です。
今日の鳥獣被害対策の知恵袋は、弊社が講師を務めさせていただいた鳥獣被害対策の『講習会:イノシシ編』のお話です。
今年に入り、北関東~東北の数か所で自治体からの依頼を受け、鳥獣被害対策の研修会や講習会で講師を務める機会をいただきました。
講習会の内容は、自治体の被害状況に応じて、イノシシなどの特定の動物に特化したものや、イノシシやシカ、クマ、サルなどの被害をもたらす動物全般に関するものなど様々でした。
参加者は、自治体の鳥獣被害対策ご担当者様や地域で対策を行っているハンターさん、住民の方など、鳥獣被害の最前線で日々対策に取り組まれている方々がお越しくださいました。
今回のブログでは、皆さんの関心が特に高かった「イノシシ」の講習会について詳しくご紹介いたします。
- イノシシの生態および調査方法について
- 被害対策について
- 被害対策機材について
それぞれの内容について、講義の概要をご紹介します。
写真:イノシシ対策の講習会の様子です。
茨城県・栃木県内一部エリアの自治体で鳥獣被害対策ご担当者の方を対象に講義を行い、約30名の方にご参加いただきました。
目次
1.イノシシの生態・調査方法について
対策は、まずは相手を知ることから始まります!
①イノシシの生態とは?
食べるものは、ドングリなどの植物から昆虫の幼虫やカエルなどの動物まで、さまざまなものを食べる雑食性です。
もちろん、農作物も格好のエサになります。
例えば
- タケノコ
- 稲の穂
- サツマイモ
- 柑橘類
などです。
と、いうことは・・・何も対策をしなければ、農作物はイノシシに食べられてしまうということです!
住んでいるところは、山地から平野部にかけての広い範囲になります。
食べるものの豊富な里山は、イノシシにとって暮らしやすい場所です。
また、イノシシは足が短く雪の多い場所では暮らすことができないと考えられてきましたが、近年では多雪地域を含め全国的に分布の拡大しています。
と、いうことは…何も対策をしなければ、イノシシはどんどん集落周辺にやってきてしまうということです。
- 1年に1度、平均4~5頭の子供を産み、メスが子育てをします。生まれたメスの子供は母親と群れを作って暮らし、オスは1~2年で母親のもとを離れます。
- 夜行性と思われがちですが、基本的には昼行性で、集落の周辺では日没から夜明けにかけて行動します。
- 鼻先で物を持ち上げるパワーや、走るスピード、また頭がよいなど、油断できない能力を持っています。
②なにをどう調べるの?
相手を知るポイントは2つあります!
- どこに・どのくらい、イノシシがいるのか?(=生息状況)
- どこに・どのくらい、被害があるのか?(=被害状況)
この2つを事前に知ることで、対策機材の有効活用や効率的な被害対策を実施することができます。
また、対策に必要な予算も検討することができます。
まずは、イノシシが残した痕跡(足跡など)を探し、場所や数、痕跡の種類を記録します。
その傾向を読み取ることで、生息・被害状況を把握するという方法です。
集落や里山内の痕跡を見ると、痕跡の数が多い場所ほどイノシシが多く出没していることが分かります。
このようなところで自動撮影カメラを使うと、
- エサさがしや泥浴びなどの行動
- 利用する時間帯
- 群れか単独か
などの詳細な情報も分かります。
農地周辺で調査をすると、
- どこでどの作物が食べられているのか?
- どこから来るのか?(けもの道)
などが分かります。
同様に自動撮影カメラを使うと、どこから侵入するかなどもより詳細が分かり、被害対策を立てる際の方法や優先順位を決めるのにとても役立ちます。
さらに、市町村や県レベルなど広域な状況把握にはアンケート調査が役立ちます。
この状況把握は、主に自治体が現状把握のために実施する手法になります。
なお、アンケート調査は、生息・被害状況調査の事前調査としても利用することができ、自治体の効率的なイノシシの保護管理のための基礎資料にもなります。
2.被害対策について
イノシシの出没や被害の状況が分かったら、いよいよ対策です!
そもそも、なぜイノシシは農作物に被害をもたらすのでしょうか?
答えは簡単です。
そこに“エサがあり、食べることができる”からです。
そのため、
- エサがあると思われないようにする
- あっても食べられないようにする
この両方で対策をすることが重要です!
さて、そこでどうするかというと…
①イノシシにとって魅力がなければ畑や集落にやってくることはありません。
~なので~
- エサが見えないよう柵を立てたり目隠しをする!
- 放棄作物は撤去し、自然に生えている植物もイノシシが食べるものは刈り取る!
②仮に畑などに魅力があっても、アクセスできなければ被害もありません。
~なので~
- 集落周辺のイノシシが潜める藪や草むらの草刈りをする!
- 柵などの侵入防止対策をする!
イノシシにそこへ行きたいと思わせない、行きたいと思ってもそこにたどり着かせない!
シンプルですがイノシシの被害対策はこれに尽きると思います。
また、ポイントとなるのは草刈りなど、ひとりでは大変なことでも集落単位で協力して対策にあたることが大切です。
「鳥獣被害対策.com」では、防護柵などの様々なツールを販売しています。
それぞれの効果的な使い方も詳しく説明していますので、ぜひご参考にしていただければ幸いです。
イノシシ対策用電気柵⇒
https://www.choujuhigai.com/fs/chiikan/c/boar-package
イノシシ対策用柵⇒
https://www.choujuhigai.com/fs/chiikan/c/boar-fence
イノシシ対策用ワイヤーメッシュ柵⇒
https://www.choujuhigai.com/fs/chiikan/boar-fence/to0001
イノシシ対策用ネット柵⇒
https://www.choujuhigai.com/fs/chiikan/c/boar-guard-net
そして、これらの対策を行っても、まだやってくるイノシシに対しては捕獲を行います。
捕獲は、銃のほか、囲いわなや箱わな、くくり罠などの“わな”による方法があります。
講習会では、主に“わな”による捕獲について詳しくご説明しましたが、それぞれのわなでメリット・デメリットがあります。
例えば、箱わなは、農地付近に設置すると、被害をもたらすイノシシを選択的に捕獲できることがメリットです。
一方、捕獲までに時間がかかることや、ウリボウが先に捕獲されるとそれを目撃した成獣が学習してしまうことなどのデメリットがあります。
つまり、大切なことはしっかりと成獣を獲ることと、獲り逃してイノシシに学習の機会を与えないことです。
イノシシ捕獲用箱わな・くくり罠
https://www.choujuhigai.com/fs/chiikan/c/boar-boxtrap-big
3.被害対策の機材について
講習会では、講義で説明した電気柵や自動撮影カメラなどの対策機材を実際に見ていただくとともに、使い方を紹介する場も設けました。
写真:実際のわなや電気柵などを使い、設置・使用方法をご紹介。
写真は箱わなにスタッフが入り、実際に罠を作動させるところです。
これから被害対策を始める方の中には、自分でも使いこなせるか分からない、本当に効果はあるのかなぁ…など、不安に思うこともあるかと思います。
弊社が開催する講習会では、実際に機材を触ってもらいながら使用方法をご説明することで、参加者のみなさまに具体的な対策のイメージを持っていただき、対策に取り組んでいただけるようデモンストレーションを行っています。
講習会に参加された方からは、実際に対策機材を見て、触って、体験・経験したことで、鳥獣被害対策への理解が深まったとのお声をいただいています。
講習会の開催については、参加者の方や講習会の開催時間に合わせた講義内容やプログラムをご用意いたします。
ご質問等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。
以上がイノシシ対策の基本のお話になります。
次回はシカ対策について、お話ししたいと思います。
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