投稿日:2024年1月18日
カワウの被害対策にドローンを活用
投稿日 : 2017年08月03日
更新日 : 2024年07月31日
こんにちは、鳥獣被害対策.comの浅尾です。
先日、宮城県仙台市と川崎町で開催された、カワウ被害対策に関する勉強会に参加してきました。
この勉強会は、県内の内水面漁業協同組合会員を対象としたものです。
その中で、小型無人機「ドローン」を用いたカワウ対策についてのお話と、デモンストレーションがありましたので、ご紹介します。
目次
獣害対策ドローン:カワウ対策
ドローンを使ったカワウ対策は主に3つです。
①カワウの巣の周囲にビニールひもを張りつけて繁殖を抑制する
以前から、カワウの巣の周囲にビニールひもを張ることにより、繁殖を抑制する効果があると言われていました。
突然、白いビニールひもが現れることを警戒することに加えて、ピンと張ったビニールひもは微風でも「ビラビラビラ」という大きな音を出して揺れるので、これをカワウが忌避したり、巣へのアプローチの際に接触するのを嫌がるなどして、カワウが利用しなくなるため、小規模なコロニーなら抑制する効果があるんだそうです。
ただし、地上ではなく、カワウの巣のある高い場所にビニールひもを張らないと効果がないため、従来は長い釣竿を使ってヒモを張るなど大変な作業を強いられていたそうです。
しかし、この作業にドローンを活用して、高い場所にヒモを通すことが可能になったことで、簡単に実施できるようになったそうです。
②巣へのドライアイスの投入
カワウの巣の中にドライアイスを入れて卵を急速冷却することで、繁殖を抑制する方法です。
従来は木に登っての作業で、とても危険を伴う大掛かりでしたが、大型のドローンを使って上空からドライアイスを投下することで、簡単に実施出来るようになりました。
③カワウの追い払い
河川や湖沼に降りて魚を捕食しようとしているカワウについては、従来はロケット花火を用いたり、銃を用いて追い払いをしていました。
しかし、カワウとの距離が離れている場合は対策が難しく、銃は誰でも撃てるわけではありません。
そこで、ドローンに銃声や爆音を鳴らすスピーカーをぶら下げてカワウを追いかけることで、効果を上げているそうです。
ちなみにカワウは、単体でただ飛んでいるだけのドローン自体は警戒しないので、音を鳴らすということが重要とのことです。
獣害対策ドローン:その他の活用法
このほか、直接的な対策ではありませんが、ドローンは従来では近づけなかった場所から観察や撮影を行うことができるため、地上からでは数えられなかった営巣数をカウントしたり、被害範囲を特定する上でもとても有効です。
写真は勉強会当日に宮城県川崎町の釜房ダム湖岸のカワウのコロニーを撮影した画像です。
ダムを挟んだ対岸遠方にあるため、コロニーの奥行きや営巣数がよく分かりませんでしたが、これなら一目瞭然ですね。
獣害対策ドローン:課題とこれからの展望
近年は様々な分野でドローンが活用されてきていますが、機材が高価で、誰でもどこでも飛ばしていいわけではなく、機材を操作するのにも熟練を要します。
汎用機だと雨や風に弱いという欠点もあり、連続飛行時間もさほど長くありません。
そうした様々な欠点や課題もありますが、今まで難しかったことが簡単に出来て、見えなかったものが見えるのは間違いありません。
カワウに限らず、他の鳥獣被害対策に応用できることもあると思われ、特に加害鳥獣の追い払いとか、離れた場所の監視、 罠類の点検などにも活用できそうです。
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