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エゾシカの新しい捕獲法

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こんにちは「鳥獣被害対策.com」の千葉です。

今日の鳥獣害対策の知恵袋は、「エゾシカの新しい捕獲法」についてです。

前回の知恵袋では、エゾシカ対策に関する取組のうち、

  1. エゾシカ・ステーション
  2. くくり罠
  3. シカの日

の3点についてご紹介しました。

いろいろな取組みでシカ対策!⇒
https://www.choujuhigai.com/blog02/archives/1615

北海道では、産官学共同で捕獲を進めた結果、平成22年度には狩猟、有害鳥獣捕獲を合わせた捕獲数が10万頭を越えるまでになりました。

しかし、これだけ多くのエゾシカを捕獲しても、シカによる農林業被害は減少せず、むしろ増加している状況です。

シカ対策_エゾシカ

このような状況を打開するため、様々な対策が試みられていますが、今回はそのうちの一つ、「シャープシューティング」についてご紹介しようと思います。

銃による大型動物の捕獲は、単独、あるいは複数人で動物の群れに接近し、射撃する手法や、追い立て役の勢子が群れを誘導し、待ち伏せた射撃手が動物をしとめる等の方法が一般的です。

しかしこれらの方法では、生き残ったシカの警戒心が強まり、同じ地域でシカを捕獲することが徐々に困難になるといった問題があります。

そこで開発された手法が「シャープシューティング」です。

この手法は、餌でおびき寄せた少数のシカを、複数の射撃手が一斉に打ち、全頭捕獲するというものです。

全頭を捕獲することにより、警戒心の強いシカが生き残ることを防ぐと同時に、同じ捕獲地点で効率よく捕獲を繰り返せるという利点があります。

シャープシューティングはシカの学習能力を逆手にとり、実際の捕獲を行う前にシカが十分環境に慣れるよう、し向ける点がポイントです。

シカが捕獲の際に警戒するものとして、3点が挙げられます。

それは、

  1. 捕獲場所の環境
  2. ハンター(人間)の存在
  3. 銃声

です。

○捕獲場所の環境
捕獲の1ヶ月程度前から餌を設置することにより、餌場として認識させ、シカの警戒心を弱めます。

○ハンターの存在
実際の捕獲時にはシカから人が見えないよう、テント等を設置し、その中に隠れて射撃を行います。
このテントの存在に慣れさせるため、捕獲場所にはあらかじめテントを設置しておきます。

○シカが恐れる銃声
驚くことに爆音機を使用します。
餌の周囲で爆音機が鳴っていては、とうていシカも食べにこないだろうと思ってしまいますが、実際は
2~3日の短期間で爆音機の音に慣れてしまうようです。

シカが何時、どの程度集まるのか、また充分に環境に慣れているのかを確認するには自動撮影カメラが不可欠です。

カメラの画像を定期的に確認することによって、捕獲場所に現れるシカの行動や、捕獲の適期を把握することができます。

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これらの事前準備のおかげで、シカは付近にハンターの隠れるテントがあっても、気にせず餌を食べるようになります。

さらにハンターが発砲しても、爆音機の音に慣れているため、生き残ったシカはすぐに逃げることはなく、最終的に捕獲場所にいるシカを全滅させることが可能となります。

もちろん現実には、そこまでうまくいかず、餌場にシカが集まりすぎてしまったり、銃声以外の物音に反応して逃げてしまったりと、なかなかうまくはいかないようです。

シャープシューティングの技術は、日本全国で試験的に実施され、徐々に技術が確立されてきている状況です。

現在、知床半島ではシャープシューティングを応用して、道路脇におびき寄せたシカを、車の荷台から射撃するという手法も試されています。

今後エゾシカの個体数調整の有効な手段となることが期待されます。

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