防獣ネットの設置方法と選び方【獣の侵入を確実に防ぐためのガイド】
投稿日:2023年11月15日
運営会社:株式会社 地域環境計画
投稿日 : 2012年01月27日
更新日 : 2024年03月19日
こんにちは「鳥獣被害対策.com」の浅尾です。
ちょっと前の話で恐縮ですが、昨年の秋にシカが多い地域の調査に行ってきました。
私たちの普段の仕事というのは、鳥獣被害対策などもありますが、ある地域の動物や植物を調べると
いうことも多いんです。
今回は、どんな哺乳類が生息しているか調べる哺乳類相の調査をしてきたわけなんですが、シカによる生物多様性の低下というのをつくづく実感させられました。
林の中がスッキリして遠くまで見渡せるのがおわかりいただけるかと思いますが、これはシカのせいで、林床の植物が 食べ尽くされてしまっているためです。
落ち葉すら食べ尽くされてしまっていて、樹木の根も剥き出しになった状態です。
これでは林床を生育環境とする植物は著しく少なくなってしまうし、森林の落葉層や腐植層に潜む昆虫類や土壌動物も貧弱なものになってしまいます。
今回困ったのは、行けども行けどもシカばかりで、他の動物が極端に少ないということです。
とりわけ、ノウサギに至っては皆無で、全く確認することが出来ませんでした。
背の高いシカは、地上から2m近い高さまでの植物を食べることが出来ると言われています。
一方のノウサギは、せいぜい地上から50cmぐらいの高さにある植物しか食べることが出来ません。
こんな状態になってしまったら、ノウサギが食べるものが無いから生きていけないのは当然ですよね。
ノウサギがいないということは、それを重要な餌としているイヌワシやクマタカなどの猛禽類にも影響が及ぶことを意味しています。
結果として生態系のバランスが大きく崩れてしまうことになるわけです。
こんな地域が日本中至る所に増えており、生物多様性が低下しています。
手遅れになる前に、早急に何とかしなければいけません。
というわけで、前置きが長くなりましたが、今回はシカ対策についてお話しします。
・自動撮影カメラで撮影したニホンジカ(こんな風に至近距離で自然な姿を撮影できるのも自動撮影カメラのメリットです)
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https://www.choujuhigai.com/fs/chiikan/c/camera
シカに限らず、あらゆる動物に共通することですが、鳥獣被害を防ぐためには、
①ネットやフェンスなどで覆う物理的な防除
②忌避効果による防除
③狙われにくくするための対策
といったものがあります。
このほか、さらに積極的な対策として、
④捕獲等による個体数管理(駆除)
が挙げられます。
①物理的な防除について
イノシシやアライグマ、ハクビシン、ニホンザルなど、シカ以外の多くの動物は、一般に果実や木の実などの特定の穫物に固執することが多いのですが、シカの場合は、農作物に限らず、葉でも茎でも何でも食べてしまいます。
手当たり次第に何でも食べ尽くしてしまうため、被害の対象や時期の予想が難しく、防除すべき対象も多岐に及ぶのが特徴です。
これが例えばハクビシンやアライグマであれば、作物が実を付ける時期に狙われることがほとんどであるため、被害に遭いそうなタイミングをある程度予想することが出来ます。
しかし、シカの場合、果実などの有無にかかわらず何でも食べてしまうため、常に油断できないというわけです。
このため、農作物の作付け時から収穫が終わるまで、栽培期間中は、常時ネットなどで覆う必要があります。
さらに、シカはジャンプ力が強く、1.5mもの高さを飛び越えるため、大型のネットですっぽり覆ってしまわなければ防ぐことはできません。
例えば、↓のような防獣ネットがありますが、これなら2.3mの高さがあるので安心ですね。
https://www.choujuhigai.com/fs/chiikan/deer-guard-net/tg0061
★シカ対策用防獣ネットはコチラ⇒
https://www.choujuhigai.com/fs/chiikan/c/deer-guard-net
こんな感じでネットにステンレスワイヤーが編み込まれているため、丈夫で噛みきられにくいのも
特徴です。↓
もちろん電気柵も有効です。
★シカ対策用の電気柵はコチラ⇒
https://www.choujuhigai.com/fs/chiikan/c/deer-package
シカを対象とする場合は下方にネットを張り、上部に電気柵を張るという組み合わせが一般的で効果が高いと言われています。
防獣ネット(アニマルネット)の上に電気策用ネット(エレキネット)を張った画像
以上は田畑などの農作物の対策ですが、森林の被害の場合にはどうしたらいいでしょう。
これはかなり難しいです。
群れ生活を営み、広大な範囲を生活圏とし、季節移動を行う場合もある彼らの侵入を防ぐのは、一筋縄ではいきません。
広大な山林をすっぽり覆うように柵などで覆う方法もありますが、膨大な費用がかかる上にメンテナンスも大変です。
シカを防ぐ目的で設置した結果、他の動物の行動を阻害してしまうという弊害もあります。
実際に私は、シカなどを防ぐ目的で張られた防護ネットに頭を突っこんで死んでいるフクロウを見たことがあります。
もちろんシカが死んでる場合もあるし、絡まって暴れているのを見たこともあります。
このように、広範囲をネットで覆う対策は、二次的な被害を招く場合もあるので、注意が必要です。
この他に、どうしても守る必要がある樹木のみ、金網やプラスティック製のフェンスなどで覆うといった対策が行われたりもします。
↓こんな感じです。
これはシカによる樹皮食いを防ぐための対策です。
こうしておかないと樹皮が囓りとられてしまい、それが樹皮下の形成層まで達すると、その樹木はやがて枯れてしまいます。
また、シカの多い地域では、道路の法面など、表土流出が起きちゃマズイ所のみ、防護ネットを張ってるようなケースもあります。
これらの方法も対策費が嵩むしメンテナンスも大変ですが、苦肉の策なんでしょうね。
結局、森林のような広大な範囲の対策は、お金も労力もかかり、二次的な被害を生じる場合もあるため、どうしても被害を防ぎたい場所のみに留め、あとは有害捕獲等により、個体数を適正に管理して
いくしかないのかもしれません。
この続きはまた次回にお話したいと思います。
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