イノシシ対策の決定版「電気柵」 ~メンテナンス/故障かな?と思ったら~
投稿日 : 2017年01月11日
更新日 : 2024年03月25日
こんにちは「鳥獣被害対策ドットコム」の井上です。
今回はイノシシ対策で活用される、電気柵のメンテナンスについてのお話です。
イノシシ対策には、電気柵が有効だ、とよく聞かれるかと思いますが、イノシシに対して効果がある電気柵を維持していくためには、維持管理が大切になります。
「あれ?電気柵が故障したかな」っと感じた際の、電気柵のチェック方法について整理しました。
目次
電気柵の回路が成立する仕組み
まずは、「電気柵の仕組み」についてのおさらいです。
電気柵の回路は、とてもシンプルです。
電気柵本機(パワーユニット)がワイヤーと地面(アース)につながっていて、イノシシが触れることによって、回路が成立し、その際に電気ショックが発生します。
電気柵のメンテナンスの重要性
電気柵は、重機などを使用しなくても設置でき、費用も金属柵などと比較すると、安価に抑えることができるので、広く普及するようになりました。
しかし、しっかりとしたメンテナンスを継続していかないと、漏電してしまい、イノシシ対策の効果が半減してしまいます。
そのため、電気柵を使用していると、ワイヤーに電気が流れていないかな?あるいは、電圧が弱いかな?と感じたら、次の点検を行ってみてください。
電気柵の電圧を計測する際はチェッカーを利用すること
※電気柵がちゃんと稼働しているか、確認するためには、電気柵用の柵線電圧測定器を活用してください。
決して、電流が流れているワイヤーを素手で触らないでください。
以下に電気柵のチェッカーをご紹介します。
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・デジタルボルトメーター(DVM-3)
※電気柵の電圧をデジタル表示
・ライブライト(LED)
※フェンスに流れる電気を利用、電池を使いません
・クイックテスター
※アースを取らずに引掛けるだけの簡単測定
・デジタルボルトメーター
※出力電圧(V)が見やすいデジタル表示
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Check1:本機(パワーユニット)の動作確認
まずは、本機(パワーユニット)自体が故障しているかの確認です。
本機(パワーユニット)にセットされているワイヤーをはずしてください。
本機(パワーユニット)がどこにもつながっていない状態で作動させ、電流検知器をあてて点検を行ってください。
正常な電圧数値であれば、本機(パワーユニット)は正常です。
もし、電流を検知できないようであれば、修理が必要になります。
Check2:アースの確認
電気柵のアースは、非常に重要な役割を果たしています。
もし、アースが設置不良だと、本機(パワーユニット)が正常に稼働しても、電圧が上がらずにイノシシに与えるショックが小さくなってしまいます。
- アース線が切断、あるいは抜けていないか?
- 専用アースがしっかりとささっていない、または必要本数が設置されていないか?
- アースが古くて錆びていないか?
などをしっかりと確認してください。
☆アース線が切れていませんか?
☆アースはしっかりと差し込まれていますか?
☆アースが錆びていませんか?
Check3:漏電箇所の確認
電気柵の仕組みは、ワイヤーがプラス(+)、地面側がマイナス(-)となります。
地面から生えているものは、マイナス要因となります。
そのため、これがワイヤーに触れると、漏電してしまい、出力が低下してしまいます。
つまり、イノシシに与える電気ショックが弱くなってしまうのです。
電気柵のトラブルの多くが、この漏電によるものとなります。
気を抜かずに、しっかりとチェックすることが大切です。
☆ワイヤーに植物がからまっていませんか?
☆ワイヤーが生木に触れていませんか?
☆ワイヤーが鉄部に触れていませんか?
☆ワイヤーがリング碍子のネジ部に触れていませんか?
また、電圧を低下させてしまう要因は、ほかにもあります。
特に、ポールや碍子などのパーツに起因する出力の低下が多く見受けられます。
適切な電気柵ポールや碍子を使い、漏電対策を心掛けるようにしてください。
☆鉄パイプにゴム素材
ゴムは紫外線劣化しやすく、ひび割れや水を含みやすくなって、漏電要素に結びつきやすくなってしまいます。
☆鉄パイプにビニール(堆肥袋など)
少し前の電気柵の取扱いでは良くみられた光景ですが、現在の電気柵本機(パワーユニット)のパワーは、ビニールを突き抜けてしまいます。
☆園芸支柱
内部に金属が入っている場合があり、気づかぬうちに漏電してしまっていることがあります。
☆木材・竹
乾燥させた木材でも水分を含んでしまうため、漏電の原因となってしまいます。
このほか、まれに本機(パワーユニット)の性能以上にフェンスを架線したことによる電圧低下といった事例もみられます。
電気柵を使用する際は、使用する機種が推奨する距離の範囲内でのご使用としてください。
おすすめの電気柵用チェッカー
なお、漏電箇所を確認するための便利なツールもあります。
「スマート・フィックス」は、電圧・電流測定、漏電方向の特定が可能です。
☆スマート・フィックスの特徴
「電流測定モード」に設定し、ワイヤーと結束されている電気柵本機(パワーユニット)の両端を測定します。
漏電原因がある方向に矢印と、漏電量の数値が表示されます。
矢印を辿ると、有刺鉄線と接触している場所を発見しました。
ここが漏電箇所です。
漏電となる原因を取り除き、再度、測定して電圧が回復しているかどうか、確認しましょう。
イノシシ対策としての電気柵は、設置したらその日から24時間通電させるのが基本です。
今年の収穫も終わり、ホッと一息ついている方もいいおと思いますが、次年度の耕作に向かって、日々のメンテナンスもしっかりとしていきましょう!
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