豚熱・アフリカ豚熱の脅威から日本の畜産を守る!獣害対策の重要性と最新動向
投稿日:2024年6月10日
運営会社:株式会社 地域環境計画
投稿日 : 2016年06月06日
更新日 : 2024年03月25日
こんにちは、鳥獣被害対策ドットコムの井上です。
本格的な耕作シーズンとなりましたが、しっかりと獣害対策はしていますでしょうか!?
今回の鳥獣害対策の知恵袋では、イノシシ対策にターゲットを絞った、電気柵の効果的な設置方法についてお話しします。
まず、最初に電気柵は、電気柵の本機、電源、電線、支柱、 アースが基本のセットとなります。
このうち、電源は用途や出力などによって、バッテリー式、ソーラーシステム式、乾電池式などに分けられます。
『電気柵』なのだから、大量の電気量が必要なのでしょ?と、想像される方も多いと思います。
しかし、実は田畑の周囲が400m程度であれば、単1アルカリ電池×6本で、2ヶ月程度は効果を持続させることができる、とてもお手軽な対策用品なのです。
目次
それでは、まずは『電気柵の仕組み』についてです。
電気柵の仕組みは、下図のように、
・・・・・・・・・・・・・・・
電気柵本機
↓
電線
↓
猪の鼻先(身体)
↓
地面
↓
アース
↓
電気柵本機
・・・・・・・・・・・・・・・
が繋がることで、電気が流れます。
ちょうど、イノシシが電線に触れると、それがスイッチの役割となって、電気の通り道ができて、イノシシの体に電気が流れるというわけです。
それでは、効果的な電気柵の設置方法について10に整理したので、順を追ってお話していきます。
電気柵の電流は、柵を設置する場所の地面が、通電性のないコンクリートやアスファルト、石畳などの場合、イノシシには電流は流れません。
また、乾いた地面では、効きが弱くなってしまいます。
そのため、田畑がこのような地面に接している場合は、以下のような工夫をして、通電させる必要があります。
こうすることで、十分な電気柵の効果を得ることができます。
電気柵を傾斜地のすぐそばに設置すると、イノシシは傾斜地の上から、電気柵を飛び越えてしまう場合があります。
そのため、電気柵は傾斜地から、2m程度は離して設置するようにしましょう。
電気柵は、電線〔(+)プラス電極〕→イノシシの鼻先(身体)→地面→アース〔(-)マイナス電極〕が繋がることで、電気が流れます。
なので、雑草などが電線に触れていると、電線〔(+)プラス電極→草→地面→アース〔(-)マイナス電極〕とつながって、電流が流れてしまうため、イノシシに流れる電圧が低くなってしまいます。
また、電源(バッテリー・乾電池)も、早く消耗してしまいます。
そのため、柵を設置する前には、しっかりと刈り払いをしましょう。
なお、雑草が生えないように、電気柵の下に通電性の無いゴム製のシートなどを敷くことは厳禁です。
電気柵の近くの藪は、イノシシの隠れ家になってしまいます。
そうすると・・・イノシシは、自分の身をさらすことなく、藪に隠れながら、余裕をもって電気柵の中を観察することができます。
さらには、電気柵のまわりをうろうろし、地際の隙間などを探して、電気柵の中に入ろうとします。
イノシシは、本来、警戒心が強い動物です。
そのため、電気柵のまわりをゆっくりと探索をさせないために、電気柵の外際は、3m程度は刈り払いを行いましょう。
イノシシが出没しそうな場所、例えば田畑の山際だけに電気柵を設置すると、イノシシは電気柵の隙間を探して侵入しようとします。
イノシシの心理としては、「おっ、電気柵だ。
ということは、この中には美味しい食べ物があるんだな!」となり、入れそうな隙間を必死になって探す、そんな感じです。
そのため、電気柵を設置する場合は、田畑の周囲のすべてを囲うように設置することが前提となります。
電気柵は、イノシシに対して軽い電気ショックを与えることで、田畑への侵入を防ぐ『心理柵』です。
しかし、イノシシの体には、硬い毛がびっしりと生えているため、鼻先などにしか電流は流れません。
また、イノシシは障害物を見つけると、それを飛び越えるよりも、まずは潜り抜けようとして、それを鼻先で触って確かめます。
そのため、電線はイノシシの鼻先の高さに合わせて1本目を張り、このほかに潜り抜けないように、さらに下方向に何本か張る必要があります。
電気柵でイノシシ対策をする場合、地面から20㎝の高さに1本、さらにその上20㎝(地面から40㎝)の高さに電線をもう1本、2段張の設置が基本とされています。
雑草が伸びてきて、電線に接触するのが面倒だからといって、地面から高いところだけに電線を張っても、電気柵の効果が見込めません。電線の設置高はしっかりと守るようにしましょう!
なお、地域によっては、さらに20㎝上段にもう1本電線を設置することもあります。電気柵を設置する際には、地域の農協さんなどにも相談してみてください。
先ほどもお話ししましたが、イノシシは電気柵を飛び越えようとはせず、隙間を見つけて、潜り抜けようとします。
特に、地面にくぼみがある場合は、電線の段数を追加し、必ず隙間をふさぐようにしましょう。
碍子(ガイシ)は、農地側ではなく、イノシシが電線に触れるよう、農地の外側に向けて設置するようにしましょう。
電気柵の本機に付属しているアースは、すべての本数を、地面に対して垂直に、しっかりと打ち込みましょう。
電気柵のアースは、とても重要な機能を有しています。アースが機能していないと、十分な電流は流れず、イノシシへの効果がなくなってしまいます。
アースの間隔は、できるだけ間隔を開けましょう。長さ1m以上のアース棒の場合は、2m以上の間隔を開けて打ち込むようにしましょう。さらに、地面を30cm程度掘った後、アースを打ち込むと、効果的になります。
早めに電気柵を設置し、作付までに日数がある場合でも、電気柵は設置した、その当日から電流を流しましょう。
イノシシは好奇心が強いので、電気柵を見つけると、「これはなんだろう・・・危険なものかな?」と警戒し、鼻先や手で電気柵に触れて確認しようとします。
その際、もし電気柵に電気が流れていないと、イノシシは「安心だ!単なるヒモだ」と思い、慣れてしまいます。
そうすると・・・イノシシは次から、電気ショックを受けやすい鼻先で、電線を触るようなことはせず、電流が流れていても平気で侵入するようになります。
つまり、慣れてしまったイノシシが農耕地に侵入する際は、電気柵の電線に体は触れますが、電気を通しづらい、硬い毛に覆われた場所だけが接触するので、電気の痛みをほとんど感じません。
イノシシは早朝や夕方など、人と接触することがない、薄暗い時間帯を好んで出没します。
電気柵の中には、光センサーで昼夜自動運転ができるものもありますが、なるべく一日中電流を流すことをおススメします。
くどいようですが、イノシシは早朝などの人がいない時にやって来ます。
その時、電気柵に電流が流れていないと、イノシシは電気柵を無害なものと認識してしまい、電流が流れていても平気で侵入するようになってしまいます。
十分に気を付けてくださいね。
電気柵の電線に雑草や枯れ枝などが触れると、そこから漏電してしまい、十分な電流がイノシシに流れなくなります。
また、電気柵の電流に、電流がしっかりと流れていても、地面を掘り起こして、地際からイノシシが侵入している可能性もあります。
そのため、定期的に草刈を実施し、イノシシに隠れ家となるような場所を与えないようにし、また漏電している箇所、侵入されている箇所がないか、確認するようにしましょう。
電気柵はとても効果の高い防護柵ですが、刈り払いなど、しっかりと維持管理をしていくことが大切です。
大切な田畑を、しっかりと守っていきましょう!
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