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猪から田畑を守るために「猪の生態 8つの特徴」を理解しよう!

猪から田畑を守るために「猪の生態 8つの特徴」を理解しよう!

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こんにちは「鳥獣被害対策ドットコム」の大井です。

世間一般の方が抱く“猪のイメージ”として、『猪突猛進』という言葉があるように、あまり頭の良いイメージはありません。

猪突猛進がイメージのイノシシ
画像:猪突猛進がイメージのイノシシ

猪のイメージ…こんな感じ…ですが、私たちが想像する以上に、猪は賢い動物のようです。

このような誤解から、あまり効果の期待できない対策を安易に実施してしまい、かえって失敗している対策例が少なくないといいます。

そこで、今回は猪の意外(?)な能力をおさらいしたいと思います。

猪の生態 8つの特徴を解説

~身体的能力の特徴~

①抜群の跳躍力

実験の結果では最高120cmの柵を越えています。しかも、ジャンプをするときは、助走をつけて跳ぶことはなく、柵の手前(30~40㎝)で、踏み切ってジャンプをするといいます。

もしかしたら、柵の周辺に障害物を置いておけば、ジャンプの邪魔になるかも?と思ってしまいます。

また、ジャンプして柵に前足をひっかけることができれば、あとはなんとか後ろ足を使ってよじ登ることもできるといいます。

巨漢のわりに、油断ならない奴です。

②狭い隙間をくぐりぬけるしなやかさ

有刺鉄線のような、多少の柔軟性がある柵ならば、20cmの隙間でも、地面を掘らずに通り抜けるといいます。

また、障害物が複雑になるほど、跳ねるより、くぐって通り抜けようとする傾向があるようです。

③鼻で物を押し上げる

メスで60kg程度、オスで70kg程度の重さであれば容易に押し上げることができるそうです。

また、猪は石などがあると、それを転がす習性があるようです。
おそらく、石の下に潜むミミズなどの餌を探しているのでしょうね。

④鎧のような剛毛

ヘアブラシとして使われるほどの剛毛で、この毛が生えている部分は電気柵の電気ショックは効きません。
ただし、腹側は背中側より弱いようです。

イノシシの剛毛
画像:イノシシの剛毛

柔軟そうに見える毛ですが、実は結構固いのですね。

~万能の鼻センサー~

イノシシの鼻のアップ
画像:イノシシの鼻のアップ

鼻は剛毛がなく、いつも湿っているような感じです。

⑤鋭い嗅覚

嗅覚は非常に優れており、イヌの嗅覚に匹敵するといわれています。

⑥触覚となる鼻先

猪の鼻先(鼻鏡)はとても柔らかく、繊細な動きが可能で、感触を確かめることができたり、猪同士の挨拶にも使われているそうです。

また、鼻は、触る・こする・突く・こねるなど、様々な動きに対応でき、まさに触覚のような枠割を果たしています。

ただし、この優秀な鼻は猪の“弱点”でもあります。
猪は、何でも鼻で探ります。そのため、気柵の柵線を、鼻が当たるあたりに通すことで、高い防護効果が見込めます。

ちなみに、成獣がリラックスした状態での、鼻の高さは地上40~50㎝といわれています。
一般的には、地上から20㎝と40㎝程度の2段の高さに柵線を張ると良い、と効果が高いとされています。

イノシシ対策用電気柵2段張り
画像:イノシシ対策用電気柵2段張り

~優れた知能~

⑦記憶力

猪に関しては様々な実験がされており、優れた記憶力があることがわかっています。

実験の後、猪が理解した内容について、6カ月後に同じ実験をすると、その手法をすべて覚えていたそうです。

さらに、数がわかる可能性もあるそうです。
実験のご褒美の餌がいつもより1粒少なかった際には、実験装置内を歩き回って必死に残り餌を探し、1粒追加したところ、口に入れ何事もなく装置に戻ったそうです。

⑧模倣学習

柵を設置していても、群れの一頭が突破すると、群れの他個体も真似をして、突破してしまいます。

群れと群れの間には、学習模倣はないとされていますが、同じ群れの1頭ができたら、群れの残りも模倣すると考えて、対策を考える必要があります。

しかし、猪は非常に臆病な動物であると言われています。
つまり、このような優れた身体能力は、あくまでも安全であるとわかる場所で発揮されます。

本来、猪は昼行性であると言われています。
しかし、昼間に猪を見ることは滅多にありません。
なぜでしょう?

それは、猪は人を恐れているので、人との接触が少ない、夜間や朝夕の薄暮時に生活をしていると考えられているからです。

また、臆病であるからこそ、里地に姿を現すときは、通い慣れた“けもの道”を使います。

一方で安全とわかり、慣れてしまうと大胆な行動をとるようになります。
つまり、本来持っている能力が発揮できるようになるのです。

『畑=安全な場所=美味しいものがある』ということがバレてしまうと、猪対策は難しくなってしまいます。

田畑に侵入するイノシシ
画像:田畑に侵入するイノシシ

そのため、田畑に柵を仕掛けるだけではなく、“けもの道”を作らせないように、田畑の周辺の藪を刈り払うなどの対策を実施して、身を隠すことができる場所をなくし、耕地の近くで大胆な行動ができない環境を作ることが必要となります。

敵に勝つには、まず敵の行動を知ることから、ですね。

参考:「イノシシから田畑を守る おもしろ生態とかしこい防ぎ方」
(江口祐輔著 2003年)財団法人農山漁村文化協会

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この記事を書いた人

大井 章豊

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