イノシシ被害を防止するために実践できることを獣害対策の専門家が解説
投稿日:2016年4月18日
運営会社:株式会社 地域環境計画
投稿日 : 2015年09月28日
更新日 : 2024年04月22日
こんにちは「鳥獣被害対策ドットコム」の井上です。
今日のイノシシ対策の知恵袋は、イノシシ足くくり罠の設置方法についてのお話しです。
最近では、関東地方でもイノシシやニホンジカによる農林業被害、生態系被害が増大しています。
そのため、多くの自治体では、狩猟期間を延長するといった措置を図り、有害鳥獣の個体数調整管理を実施しています。
対象種や猟法、捕獲の区域、期間はそれぞれの自治体ごとに設定されていて、例えば栃木県では猟期の延長だけではなく、わな猟については前倒しでスタートするところもあります。
また、埼玉県でもイノシシを対象として、2月15日から3月15日までの1ヶ月間、わな猟の猟期を延長しています。
そこで今回は、捕獲率を高めるための、足くくり罠の設置方法、特に『設置場所の選定』に関するお話です。
足くくり罠でイノシシを捕獲するとき、最も注意を払わなくてはいけないのは、わなを設置する“場所の選定”です。
最初は、林内やまわりの草原等を見回り、イノシシの痕跡、つまり、けもの道やぬた場、足跡、掘り返し跡、立木へのこすり跡といった痕跡を探します(痕跡のことを「フィールドサイン」といいます)。
イノシシが頻繁に現れる場所では、多くの場合、けもの道が縦横にみられます。そして、しっかりとけもの道の状況を観察し、利用が集中していると想定されるけもの道を絞り込みます。
下の写真は斜面に沿って残っているイノシシのけもの道です。
この絞り込みですが、目新しい『痕跡(フィールドサイン)』の有無に注意します。
例えば、こんな痕跡は要注意です。
これらの痕跡情報を総合的に判断し、「ココだ!」という、場所を絞り込んだら足くくり罠の設置です。
まずは、自分がイノシシになりきって、自分(イノシシ)たっだらどこに足を置くのかを考えます。
山中には、様々な障害物があります。
例えば、倒木や崖、あるいは落ちた枝が棘のように突き出している場所などは、イノシシは避けて通ります。
また、急傾斜地では、足を滑らせながら下りてくることもあり、このような場所では、少し平らになっている場所があれば、要チェックです。
こういった場所では、足に体重もかかるので、捕獲率のUPが見込めます。
実際に絞り込んだポイント(=罠の設置予定地)に、あらかじめ自動撮影カメラ(赤外線カメラ)をセットし、利用状況を確認することも有効です。
※自動撮影カメラとは、動物の熱を感知し自動で撮影するカメラです。
動画:足くくり罠の設置方法
ただし、罠の設置した場所を通る個体が、
といった条件で、足のつき位置は変わってしまうため、ジャストで足のつき位置を特定するのは難しいです。
このため、足跡や歩幅から個体の大きさを推定する、落ち枝や石を使って足の着き位置を誘導・限定する、といった仕掛けも必要になってきます。
なお、狭い範囲で罠を複数仕掛けるのも効果的であるといえます。
イノシシの通り道を絞り込み、イノシシに警戒されない罠を仕掛け、足の着き位置を誘導することができれば、捕獲率は格段に向上します。
次回は、イノシシ足くくり罠の設置方法②~正しい設置手順と捕獲率アップのポイント~についてお話しします。
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