「トレイルカメラを設置したらイノシシに壊された!?」3つの原因と3つの対策
投稿日:2021年4月12日
運営会社:株式会社 地域環境計画
投稿日 : 2020年09月24日
更新日 : 2024年02月09日
「鳥獣被害対策ドットコム」の宮畑です。
今日のイノシシ対策の知恵袋は、くくり罠にかかったイノシシを、補てい具(事故防止対策器具)を使って安全に止め刺しする方法についてお話します。
※【閲覧注意】記事内に一部残酷な動画が含まれますので、狩猟等の関係者や狩猟に理解のある方、ジビエなど野生鳥獣の利活用に興味のある方のみお読みください。
目次
一般的に、くくりわなにイノシシがかかった場合の止め刺し方法は、
・銃火器
・電気止め刺し器
・ナイフなどの刃物
などを使用しますが、今回はナイフを用いて止め刺しを行いました。
くくり罠にかかったイノシシは非常に興奮していることが多く、人が近づいていくと逃げようとはせず、こちらに向かって突進してきます。ワイヤーが切れたり外れたりした場合は、そのまま突っ込んできて、牙を突き上げる、噛みつく、といった攻撃を受けるため非常に危険です。
このようなことから、イノシシの止め刺しはある程度離れた位置から対処ができる銃を使用することが一般的です。
しかし、銃猟禁止区域でのわな猟や、わな猟のみしか免許を取得していない場合には銃は使用できないため、その他の止め刺し方法を用いる必要があります。
そこで、今回はナイフでの止め刺しを採用しました。
イノシシはくくり罠にかかると地面を鼻先で掘り起こす行動を頻繁にします。このため、わなの周囲は深く掘れたり、跳ね上げた土石が高く堆積している場合があります。
特に、斜面などにわなを設置した場合は、斜面下方からみると、深く掘られた穴と掘り起こして盛られた土の陰になり、遠目にはイノシシが見えないこともあります。逃げられてしまったかと思い、不用意に近づくと攻撃される恐れがありますので、慎重に確認することが必要です。
まず最初は、なるべく遠目から、できれば双眼鏡等を用いて、
・くくりの掛かり具合
・骨折等の足の状況
・ワイヤーがキンク(折れ、よれが発生することにより元の形状に戻りにくくなること)して切れかかっていないか
などを確認します。
大丈夫そうであれば、足錠等を準備し、斜面地であれば上部から慎重に近づいていきます。
斜面上部から近づく理由は、
①イノシシが突進しづらく、突進してもスピードがのらないため
②仮にくくりが外れても、避ける、対峙する、反撃するといった対処をしやすいため
です。
ワイヤーの長さ分自由に動ける状態になっている時に、不用意に斜面下部から近づくと、全速力で突進してきたイノシシ自身の体重が、走るスピードにのることで足がちぎれたり、ワイヤーが切れたり、くくりが抜けたりするリスクが増します。さらに、勢いよく突っ込んでくるため、避ける等の余裕もなく攻撃を受けてしまうことになり非常に危険です。
イノシシを捕獲したら、次は保定(補てい)し、イノシシの動きをさらに制限し、より安全に止め刺しができるようにします。
補てい具の種類としては、
・チョン掛:くくり罠にかかったイノシシの動きを止めるための器具
・鼻くくり:イノシシの鼻(上あご)を結ぶための器具で箱わなで捕獲したイノシシの確保にも有効
・足錠:足の動きを止めるための器具
があります。
この補てい具を使いイノシシの動きを制限していくわけですが、確実に保定するためには、
・わなでくくられた足もしくは隣の足(右前足にわながかかっている場合は左前足)
・くくられた足の対角の足(右前足にわながかかっている場合は左後ろ足)
・上あご
最低でもこの3か所を補てい具で保定することをお勧めします。
下の動画のように、足錠等を近づけていくと興奮したイノシシが噛みついてくるため、慎重に、タイミングを見ながら足に足錠をかけます。
足錠につなげたワイヤーに激しく噛みついてきます。
今回は、クズの蔓にくくり罠のワイヤーが絡まり、ある程度動きが制限されていたので、先に鼻くくりのワイヤーを上あごにかけて、噛みつきによる攻撃を抑えました。
今回はこれで動きをほぼ抑えられましたが、念のため後足にも足錠をかけました。
かけた後に足錠がすっぽ抜けましたが、動きはほぼ抑えられているようだったため、再度かけることはしないで止め刺しに入りました。
近づいて後ろ足をつかんでひっくり返します。
ひっくり返したら足で押さえつけて動きを止め、心臓等を刺し、頸動脈を切って血抜きをします。
この血抜き作業は、その後の肉の味に大きくかかわりますので、止め刺し時の血抜きは速やかに行いましょう。逃走の恐れがなくなったら足側の足錠等を外し、頭を下方に向けて可能な限り血を抜いておきます。 その後は、これもなるべく早い段階で内臓の摘出と肉の冷却を行うことで、臭みのない美味しい肉となります。
このように、今回は比較的スムーズに止め刺しまで行うことができましたが、やはり、一番重要なのが罠師自身の安全確保です。
あくまでも相対するのは必死に逃げようと興奮している野生動物ですから、決して油断してはいけません。
実際、止め刺しに失敗してイノシシに襲われて大けがを負われたという方は少なくありません。
そういった危険を回避するためにも補てい具(保定具)をしっかり活用し、安全に確実な止め刺しを行うようにしてください。
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